競合チェーンとスタバの決定的違い

データ・リストの販売や調査代行などを行うナビット(東京都千代田区)が2022年3月、男女1000人を対象に行った「喫茶店やカフェの利用」に関するインターネット調査も同様だ。

「喫茶店・カフェへ行く際、一番重要視している点は何ですか?」と質問したところ、最も多くの人答えたのは「ゆっくりできそうか」(41.5%)であり、「コーヒーの味」を挙げたのは8.8%だった。

つまり、日本人の多くは喫茶店・カフェに求めているのは「安くて美味いコーヒー」などではなく、「ゆっくり休憩・リフレッシュできる癒しの空間」と「小腹を満たす軽食」ということなのだ。

この現実を踏まえて、ご自分の地域にあるスタバの様子を思い出していただきたい。店舗によって違いはあるが基本的にスタバの店内は席と席の間も広く、ソファなどがあってゆったりしていないか。同一地域内にある競合のドトールやベローチェ、タリーズなどと比較すると、テーブルも大きく、店内も広く使われているというケースもあるのではないか。

ニーズに対して「手抜き」しない結果

実はこれはスタバがかねてから掲げる「サードプレイス」というコンセプト戦略によるものだ。

家庭(ファーストプレイス)や職場(セカンドプレイス)でもなく、気軽に人々と集うことができる場所をつくることで、コーヒーを提供する以外の「価値」を顧客に提供するというものだ。今風の表現を使えば、経験や体験を売る「コト消費」というやつだ。

また、もうひとつスタバの特徴としては、季節のフラペチーノやケーキなどの「食事・軽食」に力を入れている点だ。スタバにいるとたまにお店のスタッフから「これ今度発売されたケーキです、ぜひお試しください」という感じで試食を配られるはずだ。

ここまで言えばもうおわかりだろう。スタバが活況なのは、喫茶店・カフェ愛好家の多くが求めていることをしっかりと体現していることが大きい。「やるべきことを手抜きすることなくやっている」だけの話なのだ。