若者が嫌う「コスパ最悪」なのに…

「あそこで長居する客は“スタバでパソコン開いているオレ”に酔っているだけでしょ」
「列に並んで高いだけのコーヒーを買う人たちは、スタバのカップで飲んでいる自分を周囲にアピールしたいだけ」

トールのスターバックスコーヒー
写真=iStock.com/mysondanube
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スタバ愛好家が聞いたら、「なんでそんなにひねくれているの?」と驚くだろうが、今の日本には一定数、こういう人たちがいらっしゃる。ではなぜスタバを憎むのかというと「コスパが悪い」からだ。

マックが値上げしただけで「高い!」「もう行きません」と文句を言う人たちがたくさんいるように今の日本は「いいものを安く」という価値観を最優先する消費者が多くいる。こういう人からすれば、コンビニで挽きたてのカフェラテLが250円前後で飲めるご時世に、その倍以上の価格で、しかもレジで列に並ばなくてはいけないスタバは「コスパ最悪」なのだ。

にもかかわらず、スタバはいつも混んでいるということは、この店にいる者は純粋に「コーヒー」を味わいにきているのではないと考える。そこで「承認欲求や虚栄心を満たすため」という説へのめり込んでいるのだ。

求められているのは味ではなく「空間」

ただ、個人的にはスタバが活況なのはそういう「現代人の心のスキマをお埋めします」的な話ではなく、日本人が「喫茶店」に求めているポイントを、手抜きすることなくしっかり押さえていることが大きいと思っている。

それは何かというと「ゆっくり休憩・リフレッシュできる空間づくり」だ。

先ほど取り上げたコスパ至上主義からすれば、喫茶店やカフェというのは「安くて美味いコーヒーを飲む店」となるだろうが、実は喫茶店愛好家の多くはそういう認識ではない。

十六銀行グループのシンクタンク・十六総合研究所(岐阜市)が2023年10月、中部地方(愛知県と岐阜県)の840人および全国420人の計1260人に聞いた「喫茶店・カフェの利用に関する消費意識調査」を公表した。

その中で「利用目的」を聞くと、最も多いのは「休憩・リフレッシュ」(23.0%)。次いで「食事・軽食をとる(モーニングを除く)」(18.2%)と続き、「おいしいコーヒー等を飲む」と答えたのはわずか11.5%にとどまっている。