子どもは母親に依存しやすくなる
不登校になると、子どもは親に依存しやすくなります。
とりわけ母親には幼児返りともいえるような甘えた行動をとるようになったり、逆に攻撃的な態度を示したりすることがあります。現代は多様な家族構成がありますし、ジェンダーロール(性別によって社会的または文化的に役割が期待されること)にとらわれない家族観で子育てをしている夫婦が多くいらっしゃるでしょう。
それでもやはり、子どもは「母親に」依存しやすくなる傾向にあることも事実です。そのため、本稿ではたびたび「親(主に母親)」と記述しています。
個々の家庭により状況はさまざまですが、これが典型的な傾向だと知っておくと、いざそうなったときに親の戸惑いは緩和され、夫婦での連携もとりやすくなるでしょう。そのときどきの子どもの心と行動を受け止め、向き合ってもらえればと思います。
子どもが「死にたい」と口にしてもうろたえない
不登校が長期化した子どもは、「自分のような人間はこれから生きていけないのではないか」とか、「自分は生きている価値がない人間だ」という思いを抱きがちです。その中には「死にたい」と口にする子どももいます。
家族はショックを受け、うろたえるかもしれませんが、ここは腹をすえ、冷静に対応しましょう。
自室や家にこもった状態になることで、人は自己愛をふくらませ、自分が傷つくことをますます恐れて、社会との接触を回避してしまいます。そうなりながら心の片隅では、自分を責め、自己否定する気持ちがふくらんでくる場合があり、自殺願望が起こることがあります。
子どもが「死にたい」といいだしたら、家族はとにかくうろたえずに「死んでほしくない」という気持ちを静かに伝えます。
子どもは生きたいのです。でも、不登校にある今、生きることが死よりも怖く感じるのでしょう。批判や道理をいわず、安易に励ましたりもせずに、「あなたが大事」という気持ちを伝え続けましょう。
リストカットなどの自傷行為に至る場合もあります。子ども自身が不登校になった自分を受け入れることができず、その焦燥感を自傷行為であらわすのです。そういうときはあわてずに、自傷せざるをえない気持ちを、身近にいる人たちがじっくりと時間をかけて聞いてあげましょう。そして、自傷した傷を手当してあげましょう。