受け止めることとすべての行為を許すことは違う
家庭内暴力は、密室化した家族関係のもとで起こります。不登校によってはじまった幼児返りが、ときに親への暴力へとつき進ませるのです。
ほとんどの場合、暴力の矢面に立つのは母親です。不登校が続くと、子どもは母親と接近しすぎた生活を続けることになり、幼児返りが進みます。母親への暴力が起きたら、父親は母親を支え、子どもと母親との間に入って止めてください。ただし、けっして暴力や暴言で止めようとしてはいけません。
親は暴力を認めてはいけません。どんな暴力でも毅然とした態度で拒否しましょう。子どもを受け止めることと、子どもの行為を全て許すことはちがいます。子どもが暴言を吐いたり、暴力や器物破損を繰り返したりしたときは、驚いたりひるんだりせずに、その場を去るなどして距離を置きましょう。
暴力によって要求がとおったという経験にならないように、いいなりにはならず、子どもが落ち着いたら、いつもの生活に戻りましょう。そのとき、暴力についての追及はしないでおきましょう。
「自分はダメな人間だ」と子どもは追い詰められている
親は子どもの暴力に精神的に屈しないで、可能な限り平静になりましょう。
そして、暴力でしかあらわせない子どもの心を受け止めるようにしましょう。
しばしば暴力は、親が子どもを追いつめたときに起こるものです。不登校であることに強い罪悪感を持ち、学校が気になってしかたないのに登校できない、子どものつらさを理解しましょう。
不登校の子どもは自信を失っていることがあります。挫折感から悲観的になっているケースが多く、周囲の人に嫌われているとか、自分はダメな人間だなどと自分をおとしめたり、あるいは人のせいにして怒ったりします。
そのような気持ちになっている子どもには「今は学校にいかなくてもいい」こと、「いずれ自分から動きたいと思えるようになったときには手伝える」ことを伝え続けましょう。