CMは視聴者を誤解させる表現だらけ

今年1月の記事〈病院でもらう咳止め薬よりも断然効果が高い…医師の間では常識「ひどい咳がラクになるスーパーで買える食材」〉にも書いたが、市販の医薬品のテレビCMは、その商品の効能・効果を強調するあまり、視聴者をミスリーディングしかねない表現であふれている。総合感冒薬にはカゼを治す効果などまったくないのに、繰り返し“早く飲めば早く治せる”かのようなCMを見せられ続けていると、勘違いしてしまう人も出てきてしまうのだ。

花粉症の季節到来とともに流されはじめた抗アレルギー剤のCMも同様、視聴者の誤解を招きかねない表現・構成となっているから、花粉症デビュー間もない“初級者”の人こそ十分に注意が必要だ。なぜならこれらのCMでは、薬を飲みさえすれば一発で花粉に打ち勝てるかのような表現・構成が採用されているからである。それも、異なる製薬会社が皆、面白いくらいに横並びだ。

吉高由里子もマスクなしで花粉と戦う?

まずアレグラFX(久光製薬)のCM。これには人気お笑い芸人のチョコレートプラネットのおふたりと、俳優の吉高由里子さんが出演している。鼻をすする吉高さんの目の前に、朝と夕に現れるチョコプラ扮する「アレグラ兄弟」。彼らが手を振り動かすと吉高さんの症状は消えるらしい。そして「朝夕しっかり。対策ね」との言葉でCMは終わる。「対策」という言葉が使われているが、吉高さんは街なかでノーマスクであるにもかかわらず、症状から解放されたような笑顔になる。

つぎにクラリチンEX(大正製薬)のCMを見てみよう。これには櫻井翔さんが「日本の花粉をなんとかしたい……」という思いで日々研究を続ける花粉研究所の研究員役で出演。櫻井さんが商品を掲げると、人々がつけているフルフェイスマスクも花粉もものすごい風圧で吹き飛んでいってしまうという構成だ。CMの最後のカットでは、人々が吹きつける強風をノーマスクの笑顔で正面から受け止める映像が流される。