減税派・泉房穂氏と立憲の関係は
この原稿の執筆中の24日、元明石市長の泉房穂氏が夏の参院選に兵庫選挙区から無所属で立候補する考えを表明した。
立憲民主党有志議員による「食料品の消費税ゼロ%を実現する会」勉強会で講演したこともある泉氏は、この日の記者会見で「立憲民主党にもいわゆる(消費)減税を掲げる方も数多くいるし、あと(の野党)はほとんど減税派だと思う。選挙戦にとどまらず、その後のお付き合いも含めて大同団結することは可能だ」と述べ、「減税」の1点で野党の団結を図りたい考えをにじませた。
立憲民主党は国民民主党とともに、泉氏を「支援する方向で調整している」と報じられている。1人の候補の支援の有無で全体を判断するわけではないが、一定の発信力を持つ泉氏を支援することで、立憲が目指してきた「所得格差を是正し『ぶ厚い中間層』をつくる」社会像がぶれたと受け止められれば、野田氏を代表に選んだ党員の士気を大きく下げかねない。仮に兵庫県で議席を取れても、全国的には悪影響を及ぼす可能性もある。
声の大きな「固い票」に釣られて従来型の野党にとどまるのか、厳しくとも「政権政党の選択肢」となる道を歩むのか。それが問われる正念場である。野田氏ら立憲執行部の今後の発信を注視したい。
長々と書いてきたが、筆者が本当にうんざりしているのは、30年以上も「消費税」が与野党対立の最大テーマのように扱い続ける政界の空気だ。税制一つをとっても、所得、資産、消費を含め全体的な制度の見直しが必要なはずだ。争点を安易に単純化せず、複雑な問題と真剣に切り結ぶ胆力を、政界全体が持ってほしい。