私がおすすめしているのは「3つの自己否定」を行うことです。

1つ目は「ネガティブな感情を捨てる」。

たとえば社内抗争に敗れた人が敗北を引きずったまま第二の人生を送るケースがあります。こういう人は自分を負かした人への憎さから、なんとか見返してやろうという発想ですべてを回そうとします。別の会社に転職しても、前の会社の動向が気になってしょうがなく、下手をすると妙なちょっかいを出したりする。そんなことをしても何のプラスにもなりませんから、まずネガティブな感情を捨て去ることです。

2つ目は「成功体験を捨てる」。

前述したようにいま持っている人脈やノウハウを第二の人生で活かせると思い込んでいる50代の方は少なくないと思いますが、それほど簡単ではありません。

3つ目は「チームで働くという発想を捨てる」。

これまで会社の中のチームという単位で仕事をするのが当たり前であったのに対し、第二の人生では会社を離れて1人になったとき、何ができるのかを考える必要があります。

釣り、ゴルフ……「心の逃げ場」をつくる

出世競争に敗れた側の人ほど、緊張感を持って第二の人生に向けて態勢を整えなければなりません。現在はどんな大企業でも何が起こるかわからない時代です。有事の際、先にクビを切られるのは負け組の側です。そんな事態に直面して、あるいは定年退職してはじめて現実と直面し、あたふたとしないためには、相応の準備が必要になるのです。

突然会社をクビになれば嫌でも人生を見直さざるをえませんが、普通はそこまでドラスティックな変化は起こりません。徐々に権限を削られて、「どうも自分はこの会社で上にいける目はないのだな……」とだんだんわかってくるのが実際です。そんな予兆を感じたら、3つの自己否定を考え始めてみることです。