BSもCSも、相次ぐ撤退・整理
2月28日、WOWOWが開局30周年を機に、2021年3月に開設したBS放送の「WOWOW 4K」が、ひっそりと終了した。
「4K放送ならではの映像美」「WOWOWならではの番組セレクション・映像体験」を融合した新サービスとして華々しく打ち上げたが、わずか4年で「チャンネルじまい」することになった。
その理由について、WOWOWは「急速に変化する外部環境や競争の激化により、厳しい状況に直面しており、中長期的な経営資源の選択と集中を考慮」した結果という。もはや先行きが見込めない事業をダラダラと継続できないということだ。
この数年で、事業者の撤退・整理が相次いでいる。
BS放送では、「Dlife」と「FOXスポーツ&エンターテイメント」が2020年3月末で放送を終了。「BSスカパー!」が2022年10月末、「スターチャンネル2」「スターチャンネル3」も2024年5月末で放送を終えた。
事情は異なるが、NHKの「BSプレミアム」も、2023年12月1日に「NHKBS」に整理・統合され、2024年3月末で放送終了、7月16日に完全に停波した。
CS放送では、スカパー!が2024年3月末で、「J SPORTS1~4 4K」「スターチャンネル 4K」「日本映画+時代劇 4K」などの4Kチャンネルを軒並み閉じた。
2018年12月から展開してきた4K放送だが、受信機器の普及が進まず、4Kのオリジナル番組も少なく、衛星使用料などのコストがかかるばかりで、採算の改善が見込めないからにほかならない。期待した加入者の増加は、絵に描いた餅に終わったのである。
免許を欲しがる事業者は激減
かつて衛星放送は、総務省が電波を割り当てようとするたびに、参入を希望する事業者が続々と名乗りを上げ免許獲得にシノギを削ったが、そんな光景も今は昔。
先ごろ行われたNHKの「BSプレミアム」の跡地(周波数の空いた帯域)の参入事業者を募ったところ、3事業者の募集に対し、手を挙げたのは5事業者。ところが、審査の途中でWOWOWと東京通信グループが申請を取り下げたため、無競争状態になってしまった。
残ったのは、通販番組専門のSCサテライト放送の「ショップチャンネル4K」とQVCサテライトの「4KQVC」、それに新設のOCOの「OCOTV」の3事業者3チャンネル。
電波割り当ての諮問を受けた電波監理審議会は、3事業者とも認定基準をクリアしたため、形ばかりの審査で免許を与えざるを得なかった(「ショップチャンネル4K」と「4K QVC」は4月1日放送開始予定)。
「BSプレミアム」の跡地は、なんとか埋まったが、かつては満杯だった放送衛星の中継器は空き帯域が増え、未使用帯域も少なくなく、放送衛星の運用には多大な支障が出始めている。
未曽有の事態に、電監審は、通販番組のみを放送する事業者を認定することに疑義が出たことを踏まえ、総務省に対し、衛星放送の認定基準の見直しを建言。さらに、衛星放送全体の制度の在り方について、時代に即したものになるように、と要望を出した。
いうまでもなく、「衛星放送行政を根本的に見直せ」という直言にほかならない。