まだ習熟していないことに向き合うと、脳の中の「アラーム」センターである前帯状皮質が活動する。そして、脳全体のいわば「司令塔」である背外側前頭前皮質の働きによって、直面している課題に集中するようになるのである。

慣れたホームより、アウェーで新しい挑戦をするほどに、世界は大きく広がる。(写真=日刊スポーツ/AFLO)

初めてのことほど、脳の中の多くの回路が活性化する。聞き慣れた母国語よりも、まだ習得していない外国語に接したときのほうが、広い脳の回路が働くというデータもある。「アウェー」で新しい課題に取り組むことによって、脳の「本気度」が増すのだ。

だからこそ、小学校の頃は時間がゆっくり経っていた。小学校1年生のときの、1学期の長さを覚えているだろうか? 足し算、引き算、ひらがな、漢字。さまざまな人生での「初めて」があったから、脳が本気になり、時間の流れが「詰まって」いた。

脳の中には、ドーパミンという神経伝達物質があって、うれしいことがあると放出される。そして、ドーパミン放出の前に活動していた回路が強化される。これが、強化学習のメカニズムである。

ドーパミンは、サプライズのときに特に大きく放出される。「人生の初めて」を乗り越えたときに、強化学習を通して階段を一歩上ることができるのだ。

たった一度の人生、時間が薄まってしまうのはもったいない。ホームだけでなく、アウェーに挑戦することで、小学1年生の1学期のような、充実した時間の流れを取り戻すことができる。アウェーを新たなホームとすることで、自分の世界が広がる。

「アウェー比率」を高めて充実した時間を過ごそう。「なかなか時間が経たない」と感じられるような、サプライズとチャレンジに満ちた1年を送りたい。