医療費控除を忘れるといくらの損になりえるか
医療費控除を適用すると、所得控除といって課税される所得額を減らすことができます。税率をかける前の所得が少なくなるのですが、所得税の税率は所得に応じて5~45%に区分されるため、年収などによって、医療費控除で軽減される税額も異なります。一例として、通常の医療費控除を適用し、控除額が10万円の場合には、所得税は5000円~4万5000円軽減されます。諸条件により異なることがありますが、給与年収が1000万円の場合は、所得税率は23%、医療費控除による所得税の軽減額は約2.3万円が目安と考えられます。
また、住民税は所得に関わらず一律10%ですので、同じく医療費控除額が10万円の場合には、住民税が約1万円軽減されます。所得税と住民税を合わせると、このケースでは税が約3.3万円安くなります(※)。(所得税は確定申告後に軽減された税額が還付されますが、住民税は翌年度に徴収される住民税が軽減されます)
※簡易的な概算です。復興特別所得税等の他条件によって異なる場合があります。
セルフメディケーション税制で戻ってくる金額
医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)を適用した場合も、税控除計算の流れは基本的に同じです。控除できる上限額8万8000円を適用できるなら、所得税では4400円~3万9600円、住民税では8800円、税額が軽減されます。
医療費控除は自分で申告しないと適用できませんので、申告しないままにしていると本来よりも税の負担額が高くなってしまいます。領収書類を保管して確定申告してみれば、意外と節税につながるかもしれません。もし忘れてしまった場合でも、納め過ぎた所得税の還付申告は確定申告期間と関係なく、その年の翌年1月1日から5年間まで可能です。過去に高額な医療費がかかったけれども医療費控除をしなかった年があれば、今からでも申告すれば税が戻ってくるかもしれません。