確定申告の際に気をつけるべきポイント
去年に医療費がかかったから確定申告をして医療費控除を適用しよう、というときには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか?
まず留意したいのが、通常の医療費控除と特例のセルフメディケーション税制は、どちらかひとつしか使えないことです。併用はできませんので、年ごとにどちらを適用するかを選びます。通常の医療費控除では診察費、入院費、手術費、出産費、歯科治療費、薬代など幅広い医療費が対象になるのに対して、セルフメディケーション税制では所定の医薬品の購入費のみが対象になります。適用を受ける対象年に、おもにどのような医療費がかかったかを確認して選ぶとよいでしょう。
なお、医療費控除の対象になる医療費には、納税する本人のほか、生計が同じ家族にかかった医療費も含めることができます。配偶者や子どもなどの医療費があれば、それらも合計して医療費控除の額を計算できます。家族も含めて、どのような医療費がいくらくらいかかったかを確認してみましょう。
通常の医療費控除を受ける場合には、生命保険金や高額療養費などを差し引くのを忘れないようにすることも重要です。まれに、単純に年間の医療費(1~3割負担後)が10万円超かかったから医療費控除が使えると勘違いするケースがありますが、10万円を超えた医療費をそのまま控除できるとは限りません。生命保険や医療保険などから保険金・給付金を受け取っていないかを確認しましょう。
ただし、生命保険のうち医療費控除から差し引くのは入院給付金や手術給付金など、入院や治療をしたことを条件に支払われるものに限ります。がん保険の診断給付金などには、入院をしていなくても診断確定された時点で支払われるものがありますが、このような保険金は差し引かなくて問題ありません。
市販薬を購入した時のレシートを必ずとっておく
医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)を受ける場合には、対象の市販薬を購入したときのレシートや、定期健康診断やがん検診などの領収書または結果通知表を保管しておくことも忘れないようにしましょう。申告書類の記入に必要です。ドラッグストアや薬局のレシートには、対象の市販薬があれば明細に★や●などの印が付いています。確定申告時に提出は不要ですが、申告後5年間は、自宅で保管しておくことになっています。
通常の医療費控除でも、申告時には医療費の明細を申告書類に記入する必要がありますが、加入している公的保険制度から発行される医療費通知書を使ってまとめて記入したり、マイナンバーによるオンライン窓口「マイナポータル」から医療費の情報を取得して申告書に自動入力したりするなど、申告手続きを簡略化できる方法もあります。ただし、こちらも医療費の領収書は5年間保管しておく必要があります。