この5つを実行すれば、築数十年の木造住宅でも暖かくなる
補強・改修ならば「リフォーム」では? と思うかもしれません。リフォームとは老朽化した建築物を新築時の状態に戻すということなんですね。例えば、便器が古くなったから新しく交換するか、もしくは壁が汚れたから新しいクロスに張り替えるといったようなことです。
それに対して「リノベーション」とはどういうことかというと、既存の建築物に工事を加え、元の状態より価値を高めることです。
「高断熱リノベーション」という言葉はまだ一般化していませんが、住宅の見た目とか価値向上だけではなく、高断熱化、省エネ化、耐震化を同時に行うことだと、私は定義しています。
どれだけインテリアにこだわるかというのは予算しだいですが、まず冬の寒さをしのぐために、絶対にやってほしいのは、以下の5項目です。
効果の高い「高断熱リノベ」5項目
窓の高断熱化=リビング15万円、寝室10万円、トイレなど
床断熱補強=1階床のみ、25万~
天井断熱補強=屋根の断熱をウレタンで ※夏の効果が高い 30万~
ユニットバス化=浴室の床や壁がタイルであれば交換・修理 80~120万円
給湯器交換=プロパンガス、電気温水器(エコキュートを除く)は交換してエコキュート40万
最も重要で効果が高いのは「窓の断熱化」
まず「窓の断熱化」。私は2010年ごろから断熱化における窓の重要性を訴えてきました。住宅業界ではようやく常識となった感がありますが、これが最も効果が高いです。窓は人間の体に例えるなら「手」です。冬場、暖かいコートを着ていても、手袋をはめていないと体が冷たくなってしまうように、住宅にとって外気にさらされる窓は最も無防備なところ。外の冷たさを室内に伝えてしまいます。
これはマンションも含めて、古い住宅の大半はペアガラス(二重窓)でも樹脂サッシでもありません。断熱性が低いアルミサッシが主流なので、本来なら外壁も含めて工事し、樹脂サッシの窓に交換するべきですが、それには数百万円かかります。
となると、樹脂サッシの「内窓」を付けて二重にするのが現実的でしょう。この費用が、窓の大きさと枚数にもよりますが、リビングの窓に15万円、寝室の窓に10万円かかるとしましょう。家族の個室などは換算していませんが、居る時間が長いリビングや寝室などを優先して考えます。
とにかく窓の断熱化は最初にやるべきですし、たとえ他の断熱化をする予算がなくても、窓だけはするべきです。