人が困ることをわざとやる

A氏は、人を困らせる行為を平気でする人でした。

別の日には、同氏が、顧客とアポイントを設定していました。

その顧客の事務所へ朝10時に訪問、ついては現地にて集合とのことで、私は自宅から直行しました。

すると、A氏より10時5分前に電話があり、まだ事務所を出ていないとのこと。ついては自分が到着するまで話をしておいてほしいと言うのですが、もともと私は打合せの内容の詳細を知らないため、まともに話をすることができません。

これも私にとっては、A氏の良識の欠如による非常識な振る舞いですが、同じことが部下にされればパワハラとなり得るでしょう。

A氏はこれを(いわゆる)天然でやっているのではなく、人が困ると知りながらしているのです。

A氏はもっと早くから自分が間に合わないことはわかっていた、あるいは、はじめから間に合うつもりがなかったのですが、誰かが到着していれば、プロジェクトのチームとしては遅刻していないことにできると考え、時間ギリギリになって、私がその客先に着いた頃に連絡してきたのです。

腕時計を指さす人
写真=iStock.com/artisteer
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パワハラだけではない問題

これらのことをA氏が部下に対して行い、パワハラと受け取られたとします。そこで、もしA氏のパワハラ行為だけを問題と捉えてカウンセリングをすると、相談者の方が困っておられる通りになってしまうでしょう。

部下にはA氏の行為がパワハラと見なされましたが、それ以前にA氏には「良識の欠如(ラック・オブ・キャラクター/Lack of Character)」があり、それがパワハラだけでない他の問題も引き起こしているからです。

パワハラだと訴える部下が被害を受けているだけでなく、私のような同僚も、日頃から災難にっているのです。

パワハラ行為者に会ったときに、こうした点を見通すのは、カウンセラーとして十分に気をつけ、配慮していることです。