パワハラ行為者はパワハラ以外にも問題が…
相談者のご指摘の通り、彼らがすることには、パワハラだけではなく、良識の欠如が原因と思われる、さまざまな非常識な行為があります。
私がパワハラがあると相談を受けたときには、パワハラだけが問題ですか、他の問題もありますかと尋ねます。「その人の問題はパワハラをすることだけですか」とは、最初に聞くことなのです。
相談を持ち掛けてくださる担当者から聞くだけでは、答えがはっきりしないこともあり、パワハラの被害者以外の従業員たちからも聞き取りをすることがあります。それにより、どんな問題があるかを詳しく把握できるからです。
つまり、私はパワハラ行為者のカウンセラーとしてカウンセリングをしますが、パワハラ行為者のする良からぬ行為が、必ずしもパワハラだけでないことは承知しています。
パワハラ行為者の問題行動がパワハラだけというのは、むしろめずらしいのです。
パワハラはしないが「良識が欠如している」ケース
一方で、パワハラはしないが「良識が欠如している」というケースも多いものです。
その人たちは周囲に、「性格がわるい」あるいは「変わっている」と認識されています。
彼らも周囲の人を苦しめますが、彼らの振る舞いや言動は、パワハラ行為のように問題として取り上げられにくく、それ故に制限されにくい面があります。
また、同僚にとっては、ただの良識が欠如した人による行いでも、同じことを年下の部下にしたらパワハラになる。そう思える事例も多いものです。
これは私が会社勤務をしていた頃の話です。
夜9時40分、とっくに帰宅している私に同僚でプロジェクトのリーダーをしているA氏から電話がありました。そして、明日の朝9時半までに、ある資料がほしいと言います。
私はA氏に、そんなことを求められても困ると言える立場にあり、まさにそのように本人に伝え、A氏からは翌朝に詫びを入れられましたから、そのことは忘れることができました。
しかし、もしA氏が連絡したのがもっと若い社員だったら、同じようにはならなかったでしょう。