自己投資こそリターンが大きい

では、人生の中で3つの口座をどのように使い分けていくと良いでしょうか。

例えば20~30代の時期は長期の資産形成をめざしつつも、短期や中期の口座に多めの額を確保し、自己投資に充てることをおすすめします。

月々1万~2万円を投資に回すことも重要ですが、その資金を国家資格取得のための講座に使えば、将来の年収が増える可能性があるからです。例えば、会計士や税理士の資格などは独立開業が可能であり、自分なりの働き方を選べる自由度の高い資格です。

私自身、30歳から大学院に通い始め、そのリターンの大きさを実感しました。「自己投資が収入につながるかわからない」と悩む人もいますが、結果を出せるかどうかは自分次第です。勉強する場では人との縁も生まれ、そこから新しい仕事に結びつくこともあります。

コインと角帽
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老後資産の取り崩しは「定額」か「定率」か

40代を超えたら短期・中期・長期のバランスを意識し、50代以降は出口戦略を考えましょう。いわゆる資産の“取り崩し”計画です。

資産の取り崩しとは、老後に備えて蓄えた資産を、生活費やその他の必要な支出のために計画的に使い減らしていくことです。老後は収入が減少または無くなる場合が多いため、年金や貯蓄を取り崩して生活していくのが一般的です。

老後資産の取り崩しには、大きく分けると「定額」と「定率」、この2つの選択があります。

毎月末に同じ金額を取り崩す「定額」と、各月末の残高の一定割合の金額を取り崩す「定率」です。資産残高をより多く残したいなら定率、安定した金額を常に取り出したいなら定額が向いています。

私の提案は「65歳から80歳までは定率」「80歳以降は定額」にする方法です。

80歳を切り替えの目安とする理由は、健康寿命です。

日本人の健康寿命は、男性は72.57年、女性は75.45年(2022年厚生労働省)。そして、78歳で老化が急激に起こるとも言われます。2019年に米スタンフォード大学の研究チームが発表した論文では、老化は一定のペースで進むのではなく、34歳、60歳、78歳という3つのポイントで急激に進むことが示されています。