老後を心穏やかに暮らすために本当に頼るべき医師の選び方

高齢になると、なにかしらの理由で通院することも増えるでしょう。老後をイキイキと過ごすには、医師選びも重要なポイントとなります。

和田秀樹『AIを賢く利用して 老後を図々しく生きる』(日本実業出版社)
和田秀樹『AIを賢く利用して 老後を図々しく生きる』(日本実業出版社)

医療業界ではすでにAIの導入が進んでおり、今後は画像、レントゲン、CT、MRI、心電図、眼底カメラといった大量にデータが収集できるものに関しては、AIが診断を下す機会が増えるでしょう。また、診断に基づいてどの薬を処方するかという治療方法の選択も、ある程度はAIができるようになります。

今まで医師が行っていたことの一部をAIが代替できるようになるとすれば、どこの病院に行っても、同じ基準の診断が受けられて同じような治療方法を提案される可能性があるということです。

IT技術と組み合わせれば、患者さんがどこで暮らしていてもスピーディな診断が可能になり、医師不足が深刻な過疎地などにとっては安心な体制ができるでしょう。

こうお話しすると、「それならどこの病院に行っても一緒じゃないか」と思うかもしれませんが、私はいい医者を選ぶためには、別の観点が大切だと考えます。

あなたはかかりつけ医と話をしたあと、気持ちがラクになりますか?

「ちゃんと話を聞いてくれない」「いつも杓子定規な答えしか返ってこない」など、モヤモヤを抱えることはないでしょうか。老後を心穏やかに暮らすために本当に頼るべき医師は、あなたが心を許せる医師です。

もっとも簡単に医師を見分ける簡単な方法

もっとも簡単に医師を見分ける方法は、薬について相談してみることです。医師からすすめられた薬を飲みはじめたらなんとなく体がだるい、頭がぼんやりするというようなことがあれば、素直に相談してみましょう。

たとえば、血圧の降圧剤で不調を感じて相談をしたとします。不調を訴えても「血圧は正常ですから、問題ないですよ」「この薬をやめたら突然死ぬこともあるんですよ。それでもやめますか?」などという答えが返ってきたら、要注意です。

いい医者であれば患者さんの声を聴き、「別の薬を試してみましょう」「血圧は少し高めにコントロールしましょう」などと薬を再考するでしょう。

薬の効き方には個人差があり、特に高齢になるほどその差は顕著です。人によっては不調が現れる人もいるのですが、なかにはシニアのみなさんの身体を理解せず、教科書どおりに「血圧を下げるにはこの薬」と決めつける医師もいます。

医者と患者のイラスト
イラスト=まつむらあきひろ

いくら血圧が安定しても不調が続けば、生活の質が下がってしまいます。いい医者というのは患者さんが苦しまず、穏やかに暮らせるにはどうしたらよいのかを第一に考えてくれる人であるはずです。教科書通りに薬を処方するだけなら、それこそAIにやってもらえば十分な話です。

「嫌な医者とは付き合わない」が大前提

AIの導入が進むと、医者の人間的な面がよりクローズアップされるようになるでしょう。患者さんに寄り添う心構えやコミュニケーション力が試されるようになり、教科書通りの対応しかできない医者は淘汰されていくかもしれません。

医者選びで大切なのは、シンプルに嫌な医者とは付き合わないことです。話しやすい、診てもらうと安心できると感じる医師と付き合うほうが、心の健康にもいいはずです。

生成AIが進歩すると、二流の医者(今の大学では心の医療などはまったく習いません)より、AIと話しているほうが安心感を得られることにもなっていくでしょう。

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