一番のがん予防は「我慢しないこと」
日本人の死因のトップはがんであり、2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで死亡する、といわれています。年代別で罹患率をみると70代から急増することから、特にシニアが恐れる病気です。
がんは生活習慣病といわれ、世の中には「塩分を控える」「野菜や果物を積極的に摂る」「肉よりも青魚のほうがいい」といった予防法があふれています。
シニアのなかにはがんを恐れて食べたいものを我慢して粗食にしている人が多くいますが、私の考えは逆です。70歳を過ぎたら我慢をしないほうが元気でいられるのです。もちろん、暴飲暴食は禁物ですが。
がん予防にいちばん大切なのは免疫機能の維持です。免疫とはマクロファージや白血球、NK細胞、キラーT細胞、B細胞などのさまざまな細胞が異なる役割を果たしながら体を守ってくれる体内のシステムです。最近の研究では、この免疫システムが心のストレスの影響を受けるということがわかってきました。
実際に、うつ病になると風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなり、肌荒れや疲れやすいといった症状がみられるようになります。不安な気持ちやネガティブな気持ちが免疫力を低下させてしまうのです。
喜びを感じながら過ごし、前頭葉を活性化させる
こう考えると、人生を楽しみ、喜びを感じながら生きることが免疫力の維持、つまりがん予防には大切だといえます。人は好物を食べると幸福感を得て、前頭葉が活性化します。
過度な食事制限で日々ストレスを溜め込むよりも、好きなものを我慢せずに食べておいしいと感じる瞬間が多いほど、健康的なのです。
ただし、お酒の飲み方にはご注意ください。高齢になると会社の人付き合いも減り、一人酒の機会が増える方も多いようです。
眠れないから、気分が晴れないからとお酒に頼るようになるといつのまにか酒量が増え、アルコール依存症になる可能性もあります。ベロンベロンになるまで飲むのではなく、軽い晩酌程度にとどめるように気をつけましょう。