無期死刑囚と対面「時が止まっている」「ここで人生を全うする」と感じた

近年における、印象深いシーンは3年前の岡山刑務所でのこと。岡山刑務所は、無期懲役など受刑期間が長い受刑者を多く収容している施設で知られる。無期懲役囚の多くは、殺人などの重罪を犯した人物である。

「この時、無期懲役の20人ほどの方を相手に、個別で対話する機会が設けられました。当時の所長さんの英断で、サプライズで受刑者と私たちとの接点をもたせようとしたそうです。無期懲役というのは大変な犯罪者なのでしょうけれど、みなさん、真面目で礼儀正しい。ある方は『(昭和41年に日本武道館で開催された)ビートルズの公演に行って以来、音楽が好きになりました』と言っていらっしゃいました」(北尾さん)

「この方たちは、時が止まっているな、この施設で人生を全うするんだ、と覚悟を決めておられるんだなと感じました。誤解を恐れずにいえば、悟りの境地にあるような方ばかり。不思議な感覚になりました。眼の前にいるこの人が、どうしてそんな重い罪を犯してしまったのだろうと。同時に、ただの一方通行のライブを開催するだけではなく、受刑者の皆さんとのコミュニケーションの機会が与えられたことは私たちにとっても、大変、勉強になりました。所長さんは、受刑者のことを本気になって考えて行動されているんだな、と感動しました」(井勝さん)