僕の母も「合格」を祈っていなかった

ちなみに僕は3回東大受験をしています。僕の受験生時代、母親は毎年1月になると、家の近くの神社にお参りに行っていました。しかも5000円を包んでお祈りしていたのです。

それに対して僕は、3年目の時に、「毎回、自分の合格を祈願してくれてありがとう」と感謝を伝えたことがあります。すると母親からは「何を言っているんだ。あんたの合格なんて祈ったことは一度もない」って言われたのです。

僕は驚いて「え⁉ じゃあ何を祈っているのさ⁉」と聞いたら、「あんたが試験会場まで無事に辿り着けるように、とだけ祈っていたんだ。身体的な不調なく、風邪引かず、雪で電車が止まったりせずに、試験会場まで無事に辿り着けるように、とは祈っているけど、合格不合格に関しては私は知らない。試験会場に行ってから、合格できるかどうかなんて、あんたの人生でしょ。それこそ神様にだってそんなこと頼めないわよ」と言われました。

これは僕の話ですが、東大生の親も同じように「親の役割」=「子供の受験のサポート」だと理解し、徹している場合がとても多いです。「お疲れさま会」も同じですね。

玄関にいる母親に手を振る女子学生
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです

本番当日は「全力で挑んできなさい!」と送り出す

それでも、子供から親御さんに「合格できるかどうか不安だ」とか「自分はもうダメかもしれない」とか、弱音を吐いてくることもあるかもしれません。そういう時は、優しく「大丈夫だよ」と言ってあげてください。心配しなくても大丈夫。もし合格できなかったとしても、今までの努力が無駄になるわけではないから、大丈夫。そんなふうに伝えてあげるといいのではないかと、受験生に関わっていて感じます。

ちなみに僕の母親は、自分が「もうダメだ」「俺はまた不合格になるんだ」と口にするたびに、「なるようにしかならん!」と言っていました。

「どうなるかなんて誰にもわからないし、まだ決まってもいない。合格になったらなったで大変な大学生活が待っているし、不合格になったって死ぬわけじゃない。なるようにしかならないんだから、グダグダ言ってても仕方ない」と言われました。突き放すような言い方でしたが、確かにその通りだな、と納得した記憶があります。

東大生の親の共通点を見聞きし、東大受験の経験者でもある自分が親御さんにアドバイスできるとすれば、最後は「合格しようができまいが、どっちでもいい。ここまでよく頑張った。あとは、全力で挑んできなさい!」と声をかけるといいですよ、ということです。

そしてすべての受験が終わったタイミングで、ご馳走を出してあげましょう。合格発表の日に喜ぶのではなく、1年間受験勉強を頑張ったこと自体をねぎらい、褒めてあげる。そうすれば、受験という経験が人生にとってもいい糧になるかと思います。ぜひ参考にしてみてください。そして受験生の皆さんは、ぜひ全力で挑んできてください!

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