小学生は「裏技」という響きが好きな子も多い

――塾にそういう先生がいると親からするとありがたいと思います。動画をアップし始めたきっかけは?

僕がYouTubeを始めたのは塾の生徒がきっかけ。生徒に補講をしてあげたいけれど、それを塾ですると追加でお金がかかるので、「受けたいけれど、追加の授業が受けられない」子が結構いて。動画でアップすれば、無料で見られるからと始めたのです。それこそYouTubeなら、無料で気軽に見られるので「あきとんとんのこの動画面白かったよ」と、家庭で楽しんで活用いただけたらと思いますね。

あと勉強嫌いな子が、勉強を好きになるきっかけってもう一つあると思っています。

――それは何ですか?

自分に取って良い点数が取れたときです。「勉強をやりたくないと言っていて、もともと30点台だったけど、60点を取れるようになったとき、「だるいわ」と勉強が嫌になる子いないんですよ。いい点数が取れたら、みんなうれしいんですよね。だから、「点数の取り方」といったテクニック的な動画も結構出しています。「頑張ったのにできなくて怒られて、もうやりたくない」という挫折を抜け出すきっかけになればと。

テクニック頼りだろうが、まず点が取れれば、点数が取れない→自信が持てない→勉強したくないという負のループを抜け出せます。それで勉強を好きになれば、学んでいく中で「あ、あのときのテクニックって、こういう仕組みだったのか」と、そのうち理屈にもたどり着きますから。最初の一歩になる、小さな成功体験をつませるのに、手先や裏技を使うことって、小学生には有効だと思います。なかでも、算数はそれが点につながりやすい。そもそも、小学生は「裏技」という響きが好きな子も多いので、教えるだけでも喜びますし(笑)。

――そのほか、家庭でできることはありますか?

親がプラスの声掛けをしているかどうかは大きいと思います。「勉強しなさい!」と親が怒っている時間が多いと、勉強=親がいつも怒っている=ネガティブなイメージが色濃くなる気がして。ちょっとでも教科書を開いたら「勉強してる、すご〜い!」「今日も勉強したんだね〜!」でいい。子供が勉強を休んでいるときも「昨日は勉強したもんね!」など、できるだけプラスの感情をのせた声掛けをしていくと、勉強=褒められる、親がうれしそうにする=ポジティブなものに塗り替えられていくかなって。

声掛けが苦手なら、態度で示すだけでもいいと思います。「自分が勉強していると、親は機嫌がいいし、テンション高いな〜」みたいな(笑)。そういう喜びを積極的ににじませたらいいと思います。小学生なら、とくに。

これは実際に僕がそうで、兄が全く勉強せず「テストの点が悪い」「塾をサボる」といったことで、母親が心配したり、悲しんだりしているのを見てきたのですが、そこで僕がテストで点を取ってくると、すごく喜んでくれて。それも頑張る理由になっていたと思います。

――そのほか、あきとんとんさんを勉強好きにした「親の工夫」などはありますか?

『プレジデントFamily2025冬号』(プレジデント社)
『プレジデントFamily2025冬号』(プレジデント社)

テストでいい点を取るとお小遣いをもらえるのは、モチベーションにつながっていました。兄が「○点以上取れたらお小遣いあげるよ」と言われていたのを僕はしっかりと覚えていて(笑)。親は、自分から勉強する僕には言わなかったのですが、こちらから請求して、100円をもらって喜んでいました。

あと、まだかけ算を習っていないときに、母親にやり方を聞いたことがあるのですが、そのときに、紙に絵を描きながら、ものすごく一生懸命に説明してくれた記憶があって。その説明自体はそんなに上手じゃなくて理解するまではいかなかったのですが(笑)、うれしかったですね。

――ありがとうございました。最後に算数が苦手な子供にメッセージをお願いします。

算数ってすごく楽しいし、面白いんだよ!

次ページから小学校の算数のテストで使える「楽しい技」を6つ教えるね。計算問題が、簡単に解けるようになるよ! あきとんとんと勉強ふぁいとんとん!