トイレで夜に目が覚める回数が減る
寒い家で、夜中にトイレに何度も起きることが苦痛な方も多いと思います。同調査によると、断熱改修工事を行って、室温を上昇させると、トイレが近くなる「過活動膀胱」の症状を有する確率は、室温を改修前と同じレベルに維持したグループに比べて2分の1に低下するそうです。
夜、トイレに起きる回数が減って、暖かい布団の中で一晩中ぐっすり眠れるのは、幸せなことですよね。
冬の寒い家にこたつがあると、一度入ってしまうと、なかなか動かなくなってしまいがちだと思います。
断熱改修工事をすると、暖房費があまりかからなくなるので、こたつという部分的な「採暖」ではなく、エアコンによる部屋全体・家全体を暖める「暖房」がメインになる家庭が多いようです。その結果、身体活動量が明らかに増加します。特に65歳以上は、男女ともに住宅内での軽強度以上の平均活動時間が約34分前後増加しています。
当然、これも健康寿命の増進につながります。
寒い家と暖かい家では健康寿命が4歳違う
冬の居間の室温が16℃以上に保たれている住宅の割合が50%未満の自治体、50~70%の自治体、70%以上の自治体で、高血圧性疾患、脳血管疾患、肺炎等の人口あたりの患者数を比較すると、明らかに、居間を暖かくしている住宅が普及している自治体のほうが患者数が少なくなっています。
このように、暖かい家は、ヒートショックリスク低減以外にも健康にいいのです。
国土交通省と慶應義塾大学伊香賀研究室が行った調査によると、暖かい住宅に暮らしている方々と寒い家に暮らす方々で比較すると、健康寿命が4歳違うといいます。これは、脱衣室で冬に寒いと感じる頻度で、寒冷住宅群と温暖住宅群に分けて、性別・学歴・経済的満足度・同居者の有無等の影響を排除するように統計的に処理して分析した結果だそうです。
わが国の平均寿命は、他国に比べてとても長いのですが、健康寿命はさほど突出して長いわけではありません。つまり、健康寿命を失ってから亡くなるまでの期間が長い国なのです。健康寿命を延ばすためには、家を暖かくすることが重要なのです。