旧態依然とした採用方法が災いして、「人材争奪戦争」で苦戦している企業は多い。企業の将来を担うベストな人材をとるために、採用担当者が留意すべき点とは……。

戦略的人的資本コンサルティング会社、トライアングル・パフォーマンスのクライアント各社は、かなりの数の中間管理職や幹部を新たに採用している。「これは、低レベルの労働者の雇用も上向いてくる兆候だ」と、同社の社長、ケビン・バーチェルマンは言う。

しかし、このように雇用が再び活発化するなかで、企業は1990年代後半の「人材争奪戦争」で直面した課題とはまったく異なる新たな課題に直面している。「ドットコム・ブームの時代には、企業はポジションを埋める必要に迫られていたので、基準を引き下げた」と、バーチェルマンは言う。だが、今日のより合理化された環境では、予算はより厳しくなり、誰もがより大きな責任を抱えている。失敗が許される余地は小さくなっており、新しいポジションが設けられたら、それを適切な人材で埋めなければならないというプレッシャーは大きくなっている。

だが、採用の決定は多くのことを左右する重要な問題であるにもかかわらず、企業は依然として採用のプロセスに十分な時間や思考や資源を投じていないと、取材に応じてくれた実務家や専門家は語る。以下に、最もよくある誤りとそれを避ける方法を説明しよう。

[1] そのポジションで成功するために必要な能力を
  明確にしていない

多くの採用担当マネジャーが、そのポジションで必要なスキルや行動特性ではなく、職務遂行に必要な作業に焦点をあてている。その結果、候補者に求められる資質を明確に把握していない。

求人広告を出す前に、成功に必要な5~6の能力のリストをつくろう。そのポジションで平均的な仕事をした人物と、卓越した仕事をした人物を思い浮かべてみるとよいと、組織心理学者でマサチューセッツ州にあるバブソン・カレッジの経営学教授、ジョセフ・ワイントローブは言う。それぞれの人物に特有の行動特性やスキルや特徴は何だったか。その答えが、そのポジションでの卓越したパフォーマンスを可能にする能力を特定する一助になる。

「有能なマネジャーを見つけようと思うなら、そのポジションを監督する立場の人々の見方より部下の見方のほうが役に立つことが多い」と、かつてロサンゼルス・タイムズで訓練・組織開発マネジャーを務めていたコンサルタント、BJ・ギャラガーは言う。採用担当マネジャーであれば、重要なコンピタンシーのリストがそのポジションをあらゆる角度からとらえたものになるよう注意しよう。