警察に「クマ専門の対策部隊」を作ったほうがいい

――あのクマは結局、箱ワナで捕獲して駆除という形になりましたが、銃器での駆除はやはり市街地ということもあって難しかったのでしょうか。

市街地でも、見通しがよくて、背後に山などがあるような場所であれば、撃てるケースもあると思いますが、今回の場合、やはり建物の中なので、クマが隠れる場所がいっぱいあるでしょ? そういう見通しが利かない場所に入っていって、急に棚の陰からクマが飛び出してきたら、これを撃てるかといえば、撃てないですよね。それに撃った弾がそれたり、跳ね返ったりして、ガス管とか配電盤とかに当たってしまう可能性もあったから。

――今の法律では市街地での発砲は原則できないことになっていますが、現在、環境省などを中心に市街地での発砲が可能になるような法改正が検討されています。これについてはどうお考えでしょうか。

被害防止の観点からは、一歩前進とは言えると思う。ただ、誰の判断で発砲するのかという責任の所在をはっきりさせることが大事。それをハンターの方たちに任せてしまってはダメだと思う。この責任の所在が曖昧だとハンターの方たち、撃てないですよ。もちろん事故はあってはならないが、万が一、事故が起きてしまった場合のことまで想定して、セットで(法整備を)進めてほしいと思います。

従来の鳥獣被害対策実施隊(市町村の非常勤職員という位置づけで、主に地元のハンターが務めている)による駆除というのは、あくまで民間人がボランティアに近い形で協力しているので、そこに発砲の全責任を負わせるというのは単純におかしいですよね。責任の所在をはっきりさせるという意味では、警察に「クマ専門の対策部隊」を作ってもいいんじゃないか。

クマが入り込んだスーパー(奥)に向かう秋田臨港署員ら=2024年12月1日、秋田市
写真提供=共同通信社
クマが入り込んだスーパー(奥)に向かう秋田臨港署員ら=2024年12月1日、秋田市

「クマを殺すなら、お前が死ね!」という声も…

――今回、土崎のクマが駆除されたことで抗議電話はどれくらいあったのでしょうか。

(担当職員に確認しながら)秋田市と県とであわせて200件(*抗議や応援などを含む)ぐらいですね。抗議はほとんどが県外から。まぁ、わかるけどね。クマが身近に出没する場所じゃないところに住んでいる人がそういう反応になるのは。ただあんまり度がすぎると、こっちも仕事ができなくなっちゃうんでね。

――中には悪質なものもあった?

そうですね。実際に話せばわかってくれる人もいるけども、一方でいくら話してもわかってくれない人もやっぱりいる。ひどい人になると「税金泥棒」というところから始まって「クマを殺すなら、お前が死ね!」とかね。朝から晩まで、ずっと30分以上も怒鳴りまくっている人とかもいる。これはもうはっきり言って業務妨害です。