ハッキングのリスクと裏表
通信で車の走行にかかわるソフトウエアのアップデートができる、つまり通信で車の走行機能にかかわるソフトを改変できるということは、悪意のある者によるハッキングの可能性もあるということを考慮する必要がある。
ハッキングされれば、ある時一斉に特定モデルのブレーキが利かなくなる、という可能性だってゼロではないのだ。
もちろん、今後データ通信が進化しハッキング対策も徹底できればOTAはどのメーカーでも当たり前のものになり、車車間通信、路車間通信も安全に行われるようになって自動運転にも一歩近づくだろう。しかしそれは車単体だけで解決できる問題ではないのだ(これはBEVも同様だ)。
最新装備を詰め込んでも喜ぶのは富裕層だけ
またSDVによる機能アップデートの可能性について、センサー等の必要なハードウエアはあらかじめすべて装備しておいて、ソフトウエアによって機能を追加・進化していけるという話もある。そしてそれが自動車メーカーの新たな収益源になるというのだ。
しかしこの話は現実的だろうか。使うかどうかわからない、もしくは使うとしてもまだ十分使いこなせないハードをあらかじめ組み込むとなると当然価格はその分高くなる。そんなものにお金を払う人はどれだけいるだろうか。
テスラユーザーのように、先進技術に関心のある富裕層は面白がって払うかもしれないが、一般の車ユーザーは使うか使わないかわからない装備に余計な金を払う気にはならないだろう。
それに何かアップデートできるとして、その対価としてお金を払いたいと思うユーザーがどれだけいるだろうか。もちろん、画期的な改善であれば払うかもしれないが、そんな画期的な改善は滅多に起きるものではないだろう。
無料なら歓迎だが、多少のアップデートや機能追加にお金を払う人がたくさんいるとはどうしても思えない。これはスマートフォンのアプリでも同じだろう。