元広島・九里はなぜMLB挑戦を断念したのか
同じく海外FA権を行使してMLB移籍をすると思われていた広島の九里亜蓮は、一転、国内でのFA移籍を選択し、オリックス・バファローズへの入団が決まった。彼の場合、広島に対しては人的補償が発生するはずだ。
九里がなぜ、MLB挑戦を断念したのか? それは、恐らく、彼と同じ「イニングイーター(打者を打たせて取り、イニングを稼ぐタイプの先発投手)タイプ」の有原航平や上沢直之が、MLBで通用しなかったことが大きいのではないか。
有原も上沢も、もともと移籍を志した時点ですでにMLB側の評価が低かった。上沢はメジャー契約をするのも難しかった。
恐らく、九里の場合も代理人を通してMLB側に照会されただろうが、その評価は芳しくなかったのだろう。
九里の父はアメリカ人で、アトランタ・ブレーブス傘下のマイナーリーガーだった。文化的なギャップは普通の日本人より小さかっただろうが、敢えてリスクある選択をしなかったのだろう。
上沢の移籍に上がる非難の声
そして2024年1月、ポスティングシステムでMLBに挑戦した上沢直之は、マイナー契約だったレイズからシーズン前にオプトアウト(契約破棄)条項を利用してレッドソックスに移籍。辛うじてMLB昇格を果たしたがわずか2試合でマイナーに降格、以後昇格することなくシーズンを終えた。
上沢直之は2023年の成績でいえば、同じく今年NPBからMLBに移籍した投手の中では山本由伸(オリックス→ドジャース)とは差があったが、今永昇太(DeNA→カブス)とは、遜色がなかった。上沢は2023年パ・リーグでの投球回は最も多かった。
しかし、投球タイプの違いもあって、上沢の評価は低かった。そして上沢はその評価を覆すことができないままに、NPBに復帰することとなったのだ。
本人の無念は察するに余りあるが、同時に過去、MLBで成績を残すことができないままに数年を過ごして復帰した選手に比べれば、賢明な判断だと言えるだろう。
しかし上沢は、かつて所属していた日本ハムではなく、同じパ・リーグのソフトバンクと契約した。これは有原航平と全く同じルートだったが、一部のファンからはおかしいのではないか、という声が上がっている。