米ハワード大学の教授でH-1Bプログラムを研究しているロン・ヒラ教授は本誌に対し、「大手テック企業はH-1Bに大きく依存し、安価で信頼できる労働力の供給源として事実上悪用している」と指摘した。

「彼らは同プログラムの拡大を目指してワシントンで積極的にロビー活動を展開しており、一切の改革に反対している。その方が自分たちにとって得だからだ」

ヒラはさらに続ける。「H-1Bなら従業員の賃金を合法的に低く抑えられる。従業員のビザの申請やビザの管理、ひいては米国内での法的地位の管理も全て雇用主が行うため、雇用主は従業員に対してきわめて大きな交渉力と支配力を持てる」

バイトダンスがビザ取得数を着実に増やすなか、アメリカにおけるTikTokの今後は不透明さを増している。中国共産党がバイトダンスの経営に過度に関与しているという懸念があるためだ。

ジョー・バイデン米大統領はバイトダンスに対して、2025年1月19日まで(次期米大統領が就任する前日まで)に米国事業を売却することを命じているが、ドナルド・トランプ米次期大統領の返り咲きによってこの命令がどうなるのかは不透明だ。

バイトダンスは本誌の問い合わせに対してコメントはしたくないと述べたが、米国務省の報道官はビザ承認にあたっては国家安全保障が最も重視されるとコメントした。

またビザ申請者については引き続き審査を行って米市民への脅威とならないよう確認し、懸念があれば移民当局と共有するとも述べた。