指導者もメディアも勉強が足りない

ただ、2021、22年とロッテに在籍したアデイニー・エチェバリアや今年までオリックスでプレーしたマーウィン・ゴンザレスの守備を見ると、彼らのようなMLBを守備で鳴らした選手のプレーは、異次元のもののように感じられる。

NPB球団の本拠地球場の多くは、天然芝が多いMLBとは異なり、人工芝だ。イレギュラーは少ない。またNPB打者の打球速度はMLB打者に比べて全般的に遅い。こうした環境に加え、ここまで述べてきた「守備の意識の旧弊さ」が、格差につながっているのではないか。

このギャップを埋めるためには意識改革が必要だろう。優秀な野手とは「私、失敗しないので」という野手ではなく「他の選手が捕れない打球でも捕ってやる」という野手。

重要な指標は「守備率」ではなくRFや、さらに精緻なUZR(Ultimate Zone Rating)やDRS(守備防御点)などの指標だ。

指導者もメディアも、守備に対してさらなる「勉強」が必要なのではないか。

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