天皇との血縁が最も近く、感化・薫陶を受けてきた方がふさわしい

「3の理由」は、天皇の後継者はやはり天皇との血縁が最も近く、おそばで長年にわたり感化・薫陶を受けてきた方が最もふさわしい、ということです。世襲の核心は、単なる血筋の継承ではなく、“精神の受け継ぎ”です。今の皇室の中でも、「国民と苦楽を共にする」という精神を、敬宮殿下以上に天皇、皇后両陛下から身近に学んでこられた皇族が、ほかにおられるでしょうか。

敬宮殿下こそまさに正統な(最もふさわしい)後継者というほかないでしょう。

「国民の総意」を軽視すべきではない

「4の理由」は、天皇という地位は「国民の総意」に基づくべきだ、ということです。

もちろん、政治家のように人気投票によって左右される軽い立場ではありません。たとえば、私たちはこれまでに首相にふさわしい政治家として、マスメディアなどで取り沙汰されるさまざまな名前を見てきました。田中眞紀子氏、舛添要一氏、橋下徹氏など。そのような人気の移ろいははかないものです。天皇という重い立場はそれらとは区別しなければなりません。

しかし一方で、国民の気持ちをまるで無視してよいかといえば、それも違います。皇室自体も、これまでの各種の世論調査で長年にわたり、高い支持を集めてきました。瞬間最大風速的な支持とは明らかに異なります。女性天皇についても同様です。長年にわたりコンスタントに7割、8割、9割といった高い支持が集まっています。これをまったく無視してよいかといえば、そうではないでしょう。とくに近年の女性天皇への高い支持は、敬宮殿下への共感によるところが大きいでしょう。

もともと「天皇は男子」という考え方自体が、今の皇室典範が制定された当時の「国民感情」による、というのが政府の説明の仕方でした(昭和41年=1966=3月18日、衆院内閣委員会での関道雄・内閣法制局第一部長の答弁ほか)。

いつまでも男尊女卑的な感覚にとらわれて、思考停止を続けているひと握りの人々への過剰な配慮から、圧倒的多数の国民の願いに背を向け続けていては、天皇、皇室を支える国民的な基盤を危うくする結果になりかねないでしょう。