無線でソフトウエアのアップデートは「普通」

では、テスラのもう1つのアドバンテージといわれているOTAはどうか。OTAとは前述したとおり無線でソフトウエアのアップデートができる機能である。

無線という意味では、現在ほとんどのトヨタ車にはauの電波を使うDCM(車載通信モジュール)ユニットが標準装備されている。ホンダもオプションだがソフトバンクの電波を使ったhonda CONNECTを展開、日産もオプションでドコモの電波を利用したNissanConnectを提供している。

どれもナビ地図の更新等はすでにOTAでやっているのである。

回路基板に車とWi-Fiマークがデザインされている
写真=iStock.com/BeeBright
※写真はイメージです

テスラOTAでも「Wi-Fi接続が必須」という現実…

ではなぜ車載システムの更新等、大がかりなものはOTAで行わないのか。それは現在の4Gや5Gの通信速度が十分でなく、安定性にも欠けるからだ。

スマートフォンでもOSの更新など大がかりなシステムアップデートをする場合、「Wi-Fi環境で行ってください」と指示されるケースがほとんどだろう。これもデータ通信の速度・安定性が不十分だからだ。

テスラもソフトウエアをアップデートする場合、OTAといってもWi-Fi接続が必須なのである。車を安定したWi-Fi環境に止めてアップデートしなければならないのだ。

テスラはBEVなので、購入する人は自宅に駐車スペースがあって自宅で充電できる人がほとんどだろうからWi-Fi接続も問題はないだろうが、集合住宅や自宅外駐車場の人はOTAでのアップデートが困難なのである。

加えて、車のソフトウエアはデータとして重いだけでなく安全性にも直結するものなのできちんとインストールされたかのチェックも重要だ。

テスラ以外のメーカーは技術的には可能なのだが安全性を重視してやっていないだけなのである。