これで誰だってあなたを好きになる

新入社員のあなたが、先輩からこう聞かれたとしましょう。

「会社にはもう慣れた?」

職場にも仕事にも慣れてきたあなた、まずは「はい」と答えましたが、そのあとは、どう続ければいいでしょうか。

「はい。人になじむのは早いほうなんで」

これはマイストーリーです。

また、こういう血気あふれる返事をすると、職場では浮いた存在になりがちです。気をつけたほうがいいでしょう。

「はい。先輩をはじめ、みなさんがよくしてくださるので、すぐ慣れました」

まさにユアストーリーです。

自分のことを心に留めて、自分を主役にして話をしてくれる――こんなことをいってくれる人、メッセージを送ってくれる人なら、誰だって好きになるに決まっています。

屋外のビジネスミーティングの同僚
写真=iStock.com/Rossella De Berti
※写真はイメージです

では、ふだんあなたが他人に出しているメッセージは、ユアストーリーでしょうか、それともマイストーリーでしょうか。

それはあなたのLINEを見れば、一目瞭然です。

ここで一度チェックしてみましょう。

「帰りは21時頃です」
「晩ご飯はいりません」
「10分遅れます」

LINEで一番多いのはこのような用件でしょう。自分の都合を伝えるいわば道具的なメッセージです。もちろんLINEは基本的に用件を伝える道具ですから、それが悪いということはありません。

ただ、相手の立場から見るとどうでしょう。

送られてくるメッセージのほとんどが自分の都合だけであれば、相手は「この人は自分を大事に思っていない」と感じ、寂しく思うでしょう。

とくに家族や長くつき合っている恋人へのメッセージは、手を抜きがちになりますが、自分の一番大切な人に手を抜いてしまうと、その人の心を失うことにつながります。

“既読スルー”で流されるメッセージの種類

では、用件以外のメッセージはどうでしょうか。

夫や妻、子ども、友人、職場の人に送ったメッセージに綴られているのは、自分のことばかりではありませんか。

「毎日残業で疲れる」
「いまランチ中」
「電車、遅れてる。もう15分も待っている」

こんなものばかりなら、相手にとってあなたからのメッセージは価値の低いものになり、ただ読み飛ばされるだけの存在になっている可能性があります。

次に知り合いからのメッセージを見てみましょう。

ほとんどの人が見事にマイストーリーになっているはずです。

私の生徒の一人は、会社の同期からのLINEメッセージを見直してこう笑いました。

「『いまドトール』とか『雨で暇だからマンガ50巻一気読み』とか、自分のことばっかり。私からしたらホントどうでもいい!」

まさにマイストーリーの嵐。マイストーリーならぬマイストリームです。

人は自分をわかってほしい生き物。だから会話でもコミュニケーションツールでも、「私」という主語を使って語ることが多くなるのは仕方ありません。

しかしそれでは、相手の心には何もひっかからず“既読スルー”で流されてしまうのです。