なぜ聞き取れないか。それは自分が発音できないからだ。発音できない音は聞き取れない。だから克服する方法はひとつ。発音記号をしっかり学び、発音できるようにするのである。

英語には少なくとも15以上の母音がある。一方、日本語の母音は5つ。「カタカナ英語」では、正確な発音はできず、よって聞き取りも難しい。ただ、従来の英語教材では、舌や唇の動かし方に細かい指示があり、挫折しがちだ。そこで私は自己流で発音法を編み出した。


モンスター発音術 5種類の「ア」

たとえば「ア」の発音。メジャーリーグで活躍した佐々木主浩投手は、当初、キャッチャーから「ファースト!」と指示されて困ったという。それは「fast(速く)」と「first(1塁)」の区別がつかなかったからだ。日本人には「ア」としか聞こえない音も、英語では大きく五つに分かれる。詳しくは別表に写真付きでまとめたので、参考にしてほしい。

子音の聞き分けも難しい。とくに「R」と「L」の聞き分けには、いまだに私も苦労させられている。「R」の発音は桑田圭祐のイメージで舌を丸めること、「L」は山瀬まみのイメージで舌を前歯の裏にはりつけることがポイントだ。専門家からは邪道といわれるかもしれないが、私のなかでは一番しっくりくる方法だ。とにかく自己流であっても、カタカナ英語から脱却できれば、英語にしか存在しない音が耳に入ってくるようになる。

発音の勉強は、成長の実感を得やすいので、とても楽しい。自己流の発話法でも、繰り返すことで、次第に「fast」「first」の違いも聞き分けられるようになる。英語が上達していく楽しさを、日を追って味わうことができる。