よくある残念な帰省エピソード
ところで、家族の帰省がうまくいかないなんていうエピソードはいつの時代も事欠きません。次に、実際に起こりうる「残念な」エピソードと、その背景、そしてそれを回避するためのヒントを考えてみます。
気遣い不足で溝が深まる帰省
息子夫婦が久しぶりに帰省し、両親も心待ちにしていました。しかし、いざ帰省すると、些細な行き違いからぎくしゃくした雰囲気になってしまいました。
・コミュニケーションのすれ違い
息子夫婦は「せっかくの休みだから、のんびり過ごしたい」と思っていたのに対し、両親は「せっかく来たのだから一緒にいろんなことをしたい」と期待していました。たとえば、両親が「近所の神社に初詣に行こう」と誘ったのに対し、息子夫婦は疲れて断り、両親は「なんて冷たい、なんてバチあたりな」と感じてしまいました。
・世代間ギャップの衝突
息子夫婦がスマホに夢中になり、会話が途切れがちに。両親は「せっかく帰省しても全然話してくれない」と感じ、不満を抱くことに。部屋で鳴っているのはテレビの音ばかり。
・別れのひと言
帰省の最終日、息子夫婦が「じゃあ、また帰るよ」と軽い挨拶をして車に乗り込むとき、母親が小声で「なんだか疲れたなぁ」とつぶやきました。その一言に、息子夫婦はハッとして、「自分たちの振る舞いが少し配慮不足だったかも」と、別れ間際に気づきました。
家族は他人の始まりだからこそ
このエピソードが教えてくれることはただ1つ。誰もが「疲れている」ということです。というのは冗談で、家族の間柄にも「期待値」のすり合わせが必要だということです。期待値ってじつはすごく大事で、いろんな揉め事の発端は、このズレだったりします。
さしずめ自分自身がツアーコンダクターにでもなったつもりで、どのくらいの詰め込みスケジュールで帰省日程を過ごすかを事前に相手と確認しておくといいでしょう。
「そんな他人行儀な!」と思われたかもしれませんが、「家族は他人の始まり」というのは世界共通の言い回しです。ただし、最も互いに知りあえる「他人」ですから、とことん可能性を追求してみるにはもってこいの間柄です。プラスの実験台にしてみてください。