「分からない」と思われた瞬間、目的から遠ざかる

「愛の反対は、憎しみではなく無関心」と言いますが、広告では「面白いの反対はつまらないではなく分からない」と教わります。どういうこと? と分からなくなってしまった時点で、感情は急に動きにくくなってしまう。この観点は、こちらから情報を伝えていく報告や相談において、とても重要ではないでしょうか。

伝えられる側が「分からない」と思った瞬間、3つの目的からどんどん遠ざかってしまいます。案件の背景が分からない。どこに悩んでいるのか分からない。情報が多すぎて、大事なポイントが分からない。いろいろありますが、特にまずいのは何をしてほしいのか分からないことです。3つの目的のどれが必要なのか。ここは、きちんと冒頭に伝えるようにしましょう。「本日は予算配分についてフィードバックをお願いしたいので、現時点の見積もりについてまず共有します」といった具合です。

相手のモードを、こちらで指定するイメージです。情報共有なのでただ聞いていればいいのか、意思決定が必要なのかではモードが変わります。お互いの認識をしっかり揃えておいてから始めると、スムーズになります。

余談ですが、「愛の反対は無関心」というこの言葉。日本ではマザー・テレサが残した言葉として有名なのですが、海外では1986年にノーベル平和賞を受賞した作家のエリ・ビーゼルの言葉として浸透しているそうです。この一文のあと、アート、信仰、そして人生の反対も無関心であると続きます。

カラフルなペーパーに疑問符
写真=iStock.com/matdesign24
※写真はイメージです

伝える前の「ひと手間」で一気にスムーズになる

前回の議論のポイントを、最初に振り返る。資料の中で変更したパートのみ抜粋し、画像で添付しておく。情報をテキストやグラフで伝える際、要点を太字にしたり色を変えたりして目立たせておく。こうしたひと手間がものすごく効果的なのが、報告や相談です。

あなたが意思決定やフィードバックを求める相手は、おそらくその仕事だけでなくさまざまな案件で重要な役割を果たしている、仕事のできる方なのではないでしょうか。そういう相手は、ほぼ間違いなく多忙です。