流行しそうな4種類のインフルエンザ株に対応

以下、皮下接種ワクチン、点鼻ワクチンに関して、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのかを見ていきます。

①皮下接種ワクチン(不活化ワクチン)

このワクチンは、もっとも一般に流通しているワクチンです。注射器を使用して、通常は上腕に接種します。1回だけでは重症化を防ぐために必要な免疫を得られないため、厚生労働省や日本小児科学会は、生後6カ月〜12歳(13歳未満)の子どもは2回接種することを推奨しています。

しかし、確実な免疫を持続したいのであれば、13歳以上でも2回接種して身体に負担がかかることはありませんので、2回接種してもいいでしょう。

予防注射
写真=iStock.com/Manit Chaidee
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このワクチンのメリットは、世界的に使用歴が長いため、安全性や効果等に関する知見が十分にあることです。先述したような入院予防効果に関しても十分にあります。

また、感染症研究所が流行予測して、ワクチン株を決定していますので、より国内の流行に対応している可能性があるといえます。2024年度のワクチンは、A型(ビクトリア株、カリフォルニア株)、B型(プーケット株、オーストリア株)の4種類に対応しています。

一方でデメリットというと、すでにご経験の方もいらっしゃるでしょうが、接種時の痛みです。こればかりは、ワクチンの性質上、やむを得ないところです。

2023年から日本でも承認された「フルミスト」

②点鼻ワクチン(生ワクチン:フルミスト)

フルミストワクチンはインフルエンザウイルスの毒性を弱めて製造された生ワクチンで、WHOの流行予測に基づき、今年度はA型株(ノルウェー、タイ)、B型株(オーストリア)から構成されています。

海外では以前から使用が拡大していましたが、日本では2023年、2歳から18歳までの子どもを対象に承認されました。

インフルエンザウイルスの感染経路となる鼻や喉の粘膜に直接免疫を誘導することで効果を発揮するワクチンです。感染経路を考慮すると、理論的に考えると十分な予防効果が期待できるはずです。