予防効果がはっきりしていないという懸念も
ところが、現在までの研究においては、感染発症予防に関しては、不活化ワクチンと効果はあまり変わらないという結果が出ているようです。一方で、フルミストワクチンは、不活化ワクチンと比較して、35%も優位な予防効果があるという研究もあり、まだ評価は確定していません。
このワクチンのメリットを考えると、1回の接種で済むこと、痛みがないこと、そして理論的には感染経路である鼻や喉の粘膜に免疫をつけることができることなどが挙げられます。
一方のデメリットとしては、WHOの予測が、必ずしも日本において当たるとは限らないことです。また、生ワクチンであるために、発熱、鼻汁、鼻閉、咳などの副反応頻度はやや高いようです。
発熱頻度に関しては、10%程度の高確率で発熱するという報告もある一方で、不活化ワクチンとの間でほとんど差異はないという報告もあります。また、生ワクチンであるため、免疫不全を持つ方や妊婦などには接種は推奨されていません。
医学部受験直前にまさかの感染…
実は私は、医学部受験の2週間前にインフルエンザに罹患してしまったという経験を持っています。
当時は、検査キットも治療薬もなかったのですが、医院を受診して咽頭を観察され、「インフルエンザだね。試験が2週間後とは大変だな。幸運を祈るよ」と言われて、不安でいっぱいだった経験があります。受験生下宿でしたが、仲間と会うことを避け、トイレの使用でさえ他の仲間に会わないように注意していました。
そのような経験を踏まえて、受験という重要なイベントを控えた親御さんの相談を受けると、「万が一の感染リスクを避けられるなら、予防しておくに越したことはないでしょう。ワクチンを接種しましょう。もし、それでも感染・発病してしまったら検査も治療薬もありますよ」と回答しています。接種しないという選択肢はないということです。