治療したむし歯が、再びむし歯になってしまうのはなぜか。歯科医の前田一義さんは「世界基準で見れば“手抜き”ともいえる治療を続けているからだ」という――。(第4回)

※本稿は、前田一義『歯を磨いてもむし歯は防げない』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。

道具を手にした5人の歯科医
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むし歯リスクを低下させる「ラバーダム治療」

むし歯が初期段階なら、簡単な治療で治すことができます。一方、むし歯が悪化すると、根管治療を施すことになります。

根管とは、歯の根元や歯の神経を指し、根管治療はこれらに施す治療です。むし歯が神経まで達していたり、歯が折れたりした場合に行うもので、歯の神経を抜いたり、根管を洗浄・消毒したり、薬剤を詰めたりします。

根管治療を行うにあたり、スウェーデンをはじめ多くの先進国は「ラバーダム」と呼ばれる青色や緑色ゴムのシートを用います。これをラバーダム防湿といい、治療する歯の周りにラバーダムを取りつけ、治療する歯だけ露出させて治療します。

ラバーダム治療の目的は、治療する箇所に細菌が侵入するのを防ぐことです。口の中には膨大な細菌がいて、どんなに洗浄しようと細菌はゼロにはなりません。患部に細菌が入り込めば、そこからむし歯菌が繁殖し、やがてむし歯が再発することにもなります。

一方、ラバーダム治療なら患部以外をゴムのシートで覆うことで、患部に細菌が入らないようにします。これにより治療後、患部に入り込んだ細菌が増殖し、むし歯が再発するリスクを減らすのです。