相手の言葉に引きずられずに、メンタルを保つ方法はあるか。心理カウンセラーの片田智也さんは「自分の能力に対して不安や疑念がある時、私たちは不安にマッチする情報をまわりから見出してしまう。しかし、不安な想像が的中するのはわずか4%で、実はその大部分が思い過ごしである」という――。

※本稿は、片田智也『弱メンタルでも職場でうまいことやる方法を教えてください!』(明日香出版社)の一部を再編集したものです。

疲れてこめかみを抑える若いビジネスマン
写真=iStock.com/PonyWang
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「私はダメな人間なんじゃないか」と感じてしまう理由

何気ない一言が気になってしまう

不安は「ミニカー」サイズで捉える

上司や同僚の何気ない一言を引きずってしまったことはありませんか?

ちょっとした指摘を深刻に受け止めたり、「他意はない」と頭ではわかっていても、なぜか否定されたような気分になったり……。

ささいな言葉が突き刺さって抜けないことはあるものです。

入社2年目、営業職の女性がこう言っていました。

「上司が同期の子を褒める言葉を聞いた時、なぜか自分ができていないことを責められているように感じたんです……」

自分が言われたことならまだしも、直接言われたわけではない言葉が引っかかるのはいったいなぜなのでしょうか?

一言で言えば、「不安の源泉はあなたの中にある」ということです。

「私はダメな人間なんじゃないか」「仕事ができないヤツなのでは?」

このように自分の能力に対して不安や疑念がある時、私たちは、不安にマッチする情報をまわりから見出してしまうのです。

哲学者のエピクテトスはこう言っています。

「あなたの心を煩わせているのは、物事そのものではない。その物事についてのあなた自身の考えだ」

では、先の女性の場合、彼女の心をざわつかせた犯人は何だったのか?

「私はダメなヤツなのでは?」という彼女自身の考えです。この考えがあると、どんな物事からも自分を否定する材料を見つけてしまうでしょう。

「同僚を褒める言葉」はきっかけにすぎません。