新種の養殖魚も積極的に採り入れてきたスシロー

新種の貝を日本の寿司店で披露できる条件が揃ったため、生産社であるクリアウォーター社は、出荷に向けた契約をグルメグローバル社と日本の水産大手との間で結び、両社を通じて、かねてから魚介類の取引があった回転寿司チェーン最大手・スシローでのお披露目に向けた準備が動き出した。

回転寿司業界の競争は激化の一途。日々新商品などでしのぎを削る中、スシローではこれまで、国産・天然魚介類はもちろん、ハタ科の大型魚・タマカイと、高級魚・クエを掛け合わせたハイブリット養殖魚「タマクエ」や、ブリとヒラマサの交雑魚「ブリヒラ」を扱うなど、養殖魚についても積極的に寿司ネタに採り入れてきた。

内外とも天然物の水産資源が減少している中で、海外産・天然貝を新商品としてデビューさせることができたのは、画期的なことと言えよう。

年間50種の新メニューに無名の貝が入るのは快挙

F&LCの杉村昌彦商品部仕入課長は、スシローでアイスランドガイを商品化したいと思った要因について、「そこそこ弾力があって食感も良く、魚臭さもない。塩味が酢飯と合い、日本のハマグリに近いうま味を感じたから」と説明する。ただ、「おいしく加工できるようになったとしても、安く大量に供給することはできるのだろうか、といった疑問がぬぐい切れなかった」というが、最終調整の上、今年9月中旬に全国約640店舗で2個120~150円(税抜き)で期間限定での販売を行った。

同社によると、「お客様からは『初めて食べたけど、すごくおいしかった』といった声を多くいただきました」(広報)としており、順調な売れ行きだったことから、10月上旬よりグランドメニューとして登場。定番商品として少なくとも2月末まで継続して提供することにしており、その後は軍艦巻きなどでの提供を検討している。

消費者ニーズをとらえながら、同社では、「新たなネタとして候補に挙がるのは年間1200種ほどで、このうち、実際に販売されるのは約50種。無名の水産物で、外国産の貝となれば、ほとんど例がないのではないか」(広報)という。