その玉木氏は、知人女性と不倫関係にあるとのスキャンダルが週刊誌FLASHウェブ版で報じられ、11日の記者会見で「概ね事実だ」と認め、謝罪した。直後の両院議員総会で代表続投が決まったが、今後、自公両党などとの攻防で弱みを見せられず、安易に妥協できなくなったとの観測が出始めている。
過半数割れに不安「感じない」55%
そこに11月13日の読売新聞世論調査(11~12日)報道が永田町で驚きをもって迎えられた。何一つ実績を上げていないのに、短期間で、内閣支持率が43%と前回調査(10月28~29日)の34%から9ポイント上昇し、不支持率42%を上回ったのだ。石破首相が、野党側が求める政策や政治改革に誠実に対応しようとする姿勢が評価されたとしか、説明がつかないではないか。
これを裏付けるように、与党が衆院で過半数を下回っていることについて、不安を「感じる」とした人は36%、「感じない」が55%に上った。次期衆院選後にどのような政権を望むかは「自民党中心の政権の継続」が44%だったのに対し、「野党中心の政権に交代」の37%だった。
国民民主党が与党に対して部分連合を選択したことに「賛成」が66%で、「反対」は21%だった。国民民主党が求める「103万円の壁」の引き上げについて「賛成」が78%で、「反対」は13%だった。ガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除については「賛成」81%、「反対」10%だった。
「103万円の壁」解消には7.6兆円必要
11月12日に始まった自民、公明、国民民主党3党による経済対策などをめぐる政策協議は、バラマキに堕した決着が避けられない。
国民民主党の「103万円の壁」解消案を与党がそのまま受け入れると、7.6兆円の代替財源が必要になる。「トリガー条項」の凍結解除は、国と地方の税収を1.5兆円減らすと見積もられている。減収分を国債発行で賄えば、次世代にツケを回すだけになる。
玉木氏は、財源の議論になると、「減税によって消費意欲が高まり、税収も増える」と説く。どうやら、財源対策は与党任せで、その責任を共有するつもりはないらしい。
本来、経済対策や税制改正の問題は、制度や政策、財政など全体を見渡して議論すべきものだろう。
年末までには、防衛力強化の財源となる所得税などの増税を開始する時期を決定し、少子化対策の財源確保に向けた社会保障の歳出改革なども議論を始めなくてはならない。
石破首相も、自身の延命のために、国民民主党の要求を一方的に受け入れるようなことをすれば、世論の支持を失うことになるだろう。読売新聞世論調査では、首相が今後、指導力を発揮できると思うかについては「思わない」が56%、「思う」は31%だった。