事件化されていない投資トラブルも

――運営されているYouTubeチャンネルでは、事件化されていない投資トラブルについても警鐘を鳴らしていますよね。

はい、注意喚起のために、実際に調べてかなり確度の高いと思われる案件については、動画配信をすることにしています。

たとえば、ある投資会社は、「某有名会社の主幹事証券会社がついてるので、すぐに上場する」という趣旨のことを持ちかけ、多くの人に投資をさせたまま、まったく上場する気配がありません。要するに、今株を購入しておけば、近い将来において価値が何倍にもなる、という含みを持たせた投資案件ですね。

スマホを使って詐欺をする人
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

ちなみに主幹事証券会社とは、企業が新規株式公開(IPO)を行う際に証券業務を中心的にサポートする役割を担う証券会社のことで、簡単にいえば大手証券会社の“お墨付き”のことです。しかしここで名前の挙がった大手証券会社は、公式の声明において、そうした事実がないことを明言しています。

口座を凍結し、10億円の回収に成功

この投資会社に対しては、口座凍結のあと、民事裁判で争って勝訴判決を取り、預金を差し押さえる手法で戦いました。

具体的には、依頼主からの話を総合的に判断した結果、私はトラブルになっている投資会社が詐欺を行っている可能性がかなり高いと考えました。そこで、すぐさま口座凍結の申し立てを行いました。

口座を確認すると、関連会社を含めて合計10億円の資金がプールされていたことが確認できました。投資会社からは口座凍結について抗議され、凍結について損害賠償を請求する旨の連絡がありましたが、きちんと筋道を立てて口座凍結の理由を説明したところ、先方も納得した様子で、まったく連絡が来なくなりました。その後、凍結した口座の差押えを求める民事訴訟を起こして勝訴し、無事に10億円を回収することができました。