本当に儲けられる案件なら、他人に勧めたりはしない
――詐欺の被害に遭わないためには、どのようなことに気をつけるべきでしょうか。
徹底すべきなのは、「他人に自分のお金を預けない」ということです。その原則を貫けば、たいていの詐欺からは身を守ることができると思います。
月利3、4%などという高利をうたう投資話を信用しないようにしましょう。私のところに相談に来た方のなかには、月利10%という投資話を持ち掛けられたケースもありました。そもそも本当にそんなに美味しい商売なら、話を他人に持ちかけたりせずに自分でやるはずなんです。だから、基本的に世の中に美味しい話はないということを理解することが大切ですね。
それから、信用できそうな投資話だと思っても、投資会社のライセンスの有無を確認することが鉄則です。この際、海外のライセンスではなく、日本国内のライセンスを持っているか必ず確認するようにしましょう。
将来に不安がある人こそ、冷静に判断してほしい
――なぜ被害者は自分の資産を他人に預けてしまうのでしょうか。
よく言われるように物価は上昇しているのに、30年以上給与水準は変わっていません。税負担は重くなり、国民年金や社会保険に対する不安感が増大しています。したがって、自分の将来に不安を感じた方が、個人で資産形成するために投資をしよう――と考えるのはよく理解できます。
そして、それが健全な会社が行う投資であれば、損をすることはあり得るものの、当然ながら資産を増やせる可能性もあるわけです。
しかし投資詐欺の場合は、そうではありません。最初からあなたの財産を狙って仕組まれたスキームですから、確実に損をします。経済的な情勢が不安定な今だからこそ、冷静に物事を見極め、客観的な視点でその投資話がおかしくないか点検していただきたいです。
(聞き手、構成=ライター・黒島暁生)