再現メニュー! 朝食編:麦飯と味噌汁で腹を満たす
刑務所の朝食は簡素だ。麦飯と薄い味噌汁、そしてわずかばかりの副菜二品という内容が基本形といえる。これが受刑者が従事する刑務作業の支えとなる。
米7:麦3の割合で炊かれた「麦しゃり」とも呼ばれる麦飯が朝昼晩の主食で、これは全国の刑務所で共通している。「米といっても保存期間が過ぎた備蓄米の、さらに古くなったような米ですよ」と、四国と東北の2カ所の刑務所で計20年以上の服役を終えた元受刑者は苦笑する。
「味噌汁はとにかく薄い」とその元受刑者は言うが、とはいえ各地の献立を見るかぎり、具材はバリエーションに富んでいる。管理栄養士が心を砕いた結果だろう。チンゲン菜や小松菜といった菜物、キャベツや白菜、長ねぎ、玉ねぎ、ニラ、もやし、油揚げ、高野豆腐、わかめ、麩、カボチャ、インゲン、大根葉、揚げ玉など、たいてい二種類の具材が組み合わされ、単調に陥らないように工夫が凝らされている。
副菜二品は市販品をちょっぴり
副菜の二品は既製品を小分けにした物であることが多いようだ。鰹や鰯、鮪、秋刀魚といった魚類のフレークや味付の缶詰が目立ち、そこに海苔や昆布の佃煮、えびみそやねり梅、のり玉・鮭・鰹・たらこ等のふりかけ、野沢菜やキュウリや大根の漬物、納豆、ピーナッツみそ、なめ茸、きんぴらごぼうや菜物のおひたしなどが小さく盛られる。朝食の定番ともいえる卵はどうやら食中毒を避けるために生で出されることはなく、既製品の“厚焼き玉子”はさておき“クリーンエッグ”や“たまご風味ソース”といった耳慣れない製品が供されている。