旧三大財閥のひとつであり、現在も三菱商事、三菱地所などグループ会社11社のネットワークをもつ三菱。経営史学者の菊地浩之さんは「三菱グループには70年続く、月1回の社長の集まり、通称『金曜会』があり、かつてはそこで重要な決定が成されてきたが、現在は時代の流れに合わせて話し合われることが変わってきた」という――。
巨大な財閥を解体した三菱グループの親会社とは?
トヨタグループの親会社はトヨタ自動車、日立グループの親会社は日立製作所。では、三菱グループの親会社はどこかご存じだろうか? 答えは「ない」。三菱グループに特定の親会社は存在しない。
戦前の三菱財閥には親会社(持株会社)の三菱本社があった。しかし、第2次世界大戦で日本が敗戦を迎え、財閥解体によって解体されてしまう。いわば、親を亡くした兄弟会社たちが三菱グループの実態である(三井・住友グループも同様)。
とはいえ、三菱グループ各社は個々の企業だけではなく、グループとして活動していることも知られている。たとえば、万博のパビリオン出展、寄付やイベントの協賛などである。そこで、グループの意思決定の場として、各社のトップが集まる「社長会」がある。
三菱グループでは毎月第二金曜日の12:00~13:30に三菱ビル15F会議室で「三菱金曜会」と呼ばれる会合が催される(開催時期・場所は1980年代当時)。同様に三井には「二木会」、住友には「白水会」がある。
どうやって「三菱金曜会」の初期メンバー25社を決めたのか
三菱グループ企業といった場合、一般的にはこの「三菱金曜会」メンバーを指す。具体的には図表2の25社である。
では、このメンバーはどうやって決められたのか。「三菱金曜会」は1954年頃に発足したと考えられている。その初期メンバーは表で黄色の網掛けをした企業だ(実際にはこの他にも合併でなくなった企業などがあった)。
三菱グループの母体は三菱財閥であるので、その直系企業(三菱では分系会社という)がメンバーになっている。直系企業でなかったのは、三菱製紙と三菱海運、そして旭硝子である。これらの特徴は三菱商号を冠していることだ。