借金までしてつくった新たな施設

闘病から2年後、看取りができる場所として、自宅前の耕作放棄地に住居型有料老人ホーム「にしきの丘」を開所。ヘルパーステーション、訪問看護ステーション、そして峠から場所を移したデイサービスも同じ敷地内に新築した。はじめてつくった通所介護所、その後のグループホーム、そして新たにつくったデイサービス施設……江森さんが投入した資金は総額1億円以上。峠茶屋は、それまで江森さんの退職金や補助金などで無借金経営だったが、この新築移転費用に関しては、「法人としては大きな借金を入れたほうがいいのかも」と江森さんは考えた。

「振り返ると、無借金だったことが『経営の甘さ』にも通じる部分があったかなって。今は、多額の返済があることで、スタッフを含めて危機感をもって運営できるようになっていますから」

通所介護施設・宅老所「峠茶屋」前の江森さん。宅老所のネーミングは「ここで一服どうぞ」の意味を込めた。
撮影=清水美由紀
通所介護施設・宅老所「峠茶屋」前の江森さん。宅老所のネーミングは「ここで一服どうぞ」の意味を込めた。

自宅のそばに施設を集約したことで、365日、24時間対応もしやすくなった。実際、江森さんは現役看護師として、仕事用とプライベート、2台のスマートフォンを常に持ち歩き、いつでも対応できるようにしている。