自民党政権の続けるための「ギリギリのライン」
今回の選挙結果は、自民党政権を続けることができるギリギリのラインだったと言える。
自公では過半数割れしているが、国民民主党の議席数を足し合わせれば過半数を達することができるからだ。
国民民主は民間企業の労働組合(連合の同盟系)が主な支持母体であり、経済団体である経団連に支えられている自民党と政策面で一致することが多く、これまでも連携を重ねてきた。
2022年度の当初予算案には、野党でありながら賛成したという異例の経歴もある。
年間予算である当初予算案は、政府の1年間の政策を数字で表したものでもあるため、国民民主が賛成したことには「政府への白紙委任で野党としての責任放棄」「与党入りしたいと捉えられても仕方ない」という批判が立憲だけでなく、維新からも飛んだ。
だが、当時の岸田文雄首相が、ガソリン税を一時的に軽減する「トリガー条項」の凍結解除について検討すると述べたことを受けて、玉木雄一郎代表は賛成に回ることを決断した。
結局、トリガー条項の凍結解除は行われなかったため、翌2023年度の予算案には国民民主党は反対したが、その後、同党で参院議員をしていた矢田稚子氏が総理大臣を支える首相補佐官に起用されるなど、自民からのアプローチは続いている。
国民民主党が仕掛ける「攻勢」
自民党関係者は語る。
「もし、自民と公明に国民民主の議席を足しても過半数に届かない結果になっていたら、石破政権は崩壊して政界再編が起きていたかもしれない。ただ、これまで当初予算案に賛成した過去もある国民民主を引き込めば過半数が得られるという見込みができたことにより、石破首相は首の皮一枚つながったと言える」
しかし、国民民主党も躍進で勢いづいているだけに、石破政権にさまざまな攻勢を仕掛けている。
すでに「年収103万円の壁」や「トリガー条項凍結解除」が議題に上がっているが、そうした要求を受けながら政権や国会を運営していくのは至難の業でもある。
また、もし閣僚のスキャンダルなどが出れば、石破政権に協力すること自体にマイナスイメージがつきかねない。
そして、党内からの不満も噴出しているため、場合によっては中から刺されることもあるだろう。
まさに内憂外患の石破政権。
前途多難な中で国益のために日本を引っ張っていくことができるのかが、まさに問われている。