「ユダヤ系が世界を仕切ってきた」という偏見
――Qアノン信者らは、自分たちのことを党派も人種的偏見もない、「肌の色の違いを超えた愛国主義」の信奉者だと考えているが、実際には「根深い反ユダヤ主義」がみられると書いていますね(第4章)。陰謀論にも反ユダヤ主義が影を落としているのでしょうか。
反ユダヤ主義は陰謀論に大きな役割を果たしている。『陰謀論はなぜ生まれるのか』の次に書いた最新刊『Jewish Space Lasers: The Rothschilds and 200 Years of Conspiracy Theories』(未邦訳、仮題『ユダヤ人の宇宙レーザー ロスチャイルド家と200年にわたる陰謀論』の中で、陰謀論カルチャーにおける反ユダヤ主義の甚大な役割について書いた。
数々の陰謀論をたどっていくと、ほぼすべてがユダヤ人の陰謀団やユダヤ人の金融業者、ユダヤ人の中央銀行、ユダヤ人の権力といった考えに行き着く。どれもこれも、ひと握りのユダヤ人が世界を動かしているという考えに由来している。陰謀論を信じることは、(ユダヤ人に関する)上記のような概念に抵抗することと同じだ。陰謀論の根っこにあるのは、そうした姿勢だ。
私は銀行家のロスチャイルド家とは無関係だ。しかし、ロスチャイルド家がなぜ、これほど頻繁に陰謀論に登場するのか、疑問に思っていた。そこで背景を探っていくと、ユダヤ人が何世紀にもわたって世界を仕切ってきたという考えに行き着き、なかでも、最も有名なユダヤ系の一家がロスチャイルド家だったというわけだ。前述の最新刊『Jewish Space Lasers』では、そうしたことについても書いている。
(後編へ続く)