中国の信用格付けが下がるリスクも

その場合、中国が国債や地方債などの発行を増やし、経済対策を打つ必要性は増す。状況次第で、内陸部の農村地域などから先に財政不安は高まり、地方融資平台のデフォルトリスクは上昇すると考えられる。地方融資平台に資金を融通したシャドーバンクの経営不安も再燃し、信託商品など相対的に利回りの高いローン債権を組み入れた投資商品の債務不履行懸念も高まるだろう。

昨年12月、米信用格付け業者のムーディーズ、本年4月にはフィッチが中国の格下げリスクの上昇を警告した。債券発行の増加、地方政府などの財政悪化で、実際に米欧の大手信用格付け会社が中国の信用格付けを引き下げる可能性は高まっている。

中国政府にとって、財政出動の拡大は景気の安定に必要な政策だ。しかし、問題は、いかに中国が人々の自由を認め、経済のパイの拡大を目指すかだ。そうした政策発動には時間がかかる。それが難しいと、財政支出の増加とともに中国の信用リスクが上昇することは避けられない。

【関連記事】
6000万戸もの「売れ残りタワマン」に習近平主席もお手上げ…「EV頼み」でも経済を立て直せない中国政府の大迷走
だから中国は尖閣諸島に手を出せない…海上保安庁が「領海警備」「海難救助」以外にやっている知られざる仕事
だから小泉進次郎氏は「解雇規制緩和」をぶち上げた…業績好調企業で50代社員の「口減らし」が始まっている理由
なぜ「日本語が話せない」在日中国人が急増しているのか…国内にじわじわ広がる「巨大中国経済圏」の実態
「バカなの?」「はい論破」…無意識に攻撃を仕掛けてくる人の口を封じる3つの短い"切り返しフレーズ"