世界で人気の韓国発のアニメ
今期のシリーズ作としては、『推しの子』と『神の塔』がある。
『推しの子』はもはや説明不要だろう。今回の第2期は「2.5次元舞台編」で原作と舞台化の間にある葛藤は業界特有の問題にも言及した秀作だ。楽曲「アイドル」で爆発した第1期(2023年春)に比べれば勢いは弱まったとはいえ、今クールでも一番人気のMembers数となっている。
また日本では必ずしも人気になっていない『神の塔』は韓国のウェブトゥーン発のアニメ。実は第1期の2020年春(4~6月)でもMembers数34万人を獲得した「海外ヒット作」である。34万人は実写映画化もされた日本の人気アニメ『かぐや様は告らせたい?』に次ぐ2位だった。
※ウェブトゥーンとは、韓国発のウェブコミックの一種。従来のマンガと異なり、上から下へと読み進められるよう、各コマが一つずつ縦に並ぶ単純なコマ割りを採用しているのが最大の特徴。
韓国ウェブトゥーン作品は日本のアニメ会社が作ったとしても日本では伸びず、海外で大きく広がる傾向がある。以前の原稿でも触れた、同じく韓国のウェブトゥーン発の『俺だけレベルアップの件』(『俺レベ』)も同様だった。
本作はウェブトゥーンとしても2010年から続く長い作品であり、2023年時点で60億View、2023年7月からはネットマーブル社(本社・韓国ソウル)によるアプリゲームとしても世界配信されており、韓国発メディアミックス作品としては『俺レベ』と双璧をなす成功作でもある。
異例の「アメコミ×異世界」の結果は…
同様の現象は『異世界スーサイド・スクワッド』についてもいえる。
ワーナー・ブラザース・ジャパンが日本から発信する完全新作オリジナルアニメで、「異世界もの」とワーナー・ブラザーズの虎の子IPである、映画『スーサイド・スクワッド』(2016、以下SS)をリミックスした作品となる。アニメーション制作はウィットスタジオ(本社・東京都武蔵野市)だ。
日本アニメ人気はついにここまできたかという感がある。
アメコミ×異世界というコラボがどう化学反応するか、注目の一作ではあったが、MALでは9位。ちょっと期待値ほどには満たなかったという結果かもしれない。
ワーナーは以前も『ニンジャバッドマン』(2018)を手掛けており、こうした日本支社を巻き込んだ動きができているという点ではディズニーやユニバーサルにも先んじた革新性も感じさせる。SSと同じDCコミック発の映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が2024年10月から公開だったので、もう少し時期の重なりがあると効果はより大きかったかもしれない。