鉄板の「学園モノ」
日本では人気の高かった『逃げ上手の若君』(14位、16万人)や『2.5次元の誘惑』(17位、10万人)が伸びきらなかったことは、鎌倉時代やコスプレ×ハーレムというモチーフがイマイチ海外では浸透しきれなかったのかもしれない(前期放送の『その着せ替え人形は恋をする』は高評価だった)。
23位『先輩はおとこのこ』(6.5万人)や44位『ラーメン赤猫』(1.2万人)についても同様で、さすがに日本で流行する文脈と欧米のそれとは完全に一致するわけではない、という結果といえる。
昔からのリバイバル作品として46位『グレンダイザーU』(0.7万人)、47位『キン肉マン 完璧超人始祖編』(0.7万人)やインディーゲームからの秀作43位『天穂のサクナヒメ』(1.6万人)など面白い試みも多かった。
今回トップ作品は全般的に学園ラブコメアニメ、いわゆる「学校モノ」だったといえる。
2位の『ロシデレ』のメンバー数は32万で、放送中の3カ月で3倍近くまで伸ばした。一方、『推しの子』は第2期と言うこともあり、伸び率は1.5倍ほどだった。
『推しの子』とともに2024年にKADOKAWA傘下にはいった動画工房(本社・東京都練馬区)の制作アニメが1位、2位を独占した格好だ。
「みんなが待ち望んでいた」
『ロシデレ』はタイトル通り、ツンデレのロシア人ヒロイン・アーリャはデレるときだけロシア語を話すが、実は主人公はロシア語が分かる。本人が気づいていないデレがもろバレという事実をほくそえみながら楽しむという新しい嗜好性もあるが、本作はとにかくキャラクターデザインがよく、絵がキレイというところで人気が高かった。
MALでも「みんなが待ち望んでいたロマンチックコメディ。ニセコイ以来の作品である」「高校を舞台にしたツンデレやブラコンは定番だが、ストーリーもよく、ロマンチックコメディに求められるすべての要素が保持されており、ユニークで興味深い作品」「ビジュアル的に素晴らしいです。動画工房の最高傑作の一つ」といった評価が並ぶ。
6位『負けイン』はいわゆる容姿端麗でヒロインになるべきキャラでありながら、各自“残念”な性格があり、幸せになれない女性たちと男性主人公が繰り広げる人間ドラマだ。
いわゆるハーレム的な世界を想像するが、本作はすでに誰か思い人に振られてその恋を引きずっている状態のヒロインから始まる。なので主人公を(全く)恋愛対象としてみていない前提である。
それが学園ラブコメとしては新しい解釈であったといえる。