雲の上の存在に憧れの気持ちを持つ

良い嫉妬をするコツは、自分にとっては雲の上の存在のような人を嫉妬の対象に選ぶことです。

自分と実力が伯仲しているような人ですと、「負けたくない」という気持ちのほうがどうしても強くなってしまって、悪い嫉妬になりがちだからです。

雲の上の存在であれば、そもそも張り合おうという気持ちになりません。どうせ勝てるわけがないので、憧れの気持ちのほうが強くなり、良いモチベーションを高めてくれるはずです。

「あの人を目指して自分も頑張ろう」という気持ちになるのかどうかを確認してみましょう。もしそういう気持ちになれるのでしたら、それは良い嫉妬ですので、どんどん嫉妬してかまいません。自分よりも数段上の人を目指すのがいいですね。

嫉妬の対象を決めたら、後はその相手を徹底的に真似てみることです。

髪型もその人に似せましょう。服装も似せてください。話し方や、その人の振る舞い方、趣味などもどんどん真似しましょう。

野球をやっている少年は、自分の好きなプロ野球選手のバッティングフォームを真似たりするものですが、そういう真似はどんどんやったほうがいいのです。

力士は「出稽古」で張り合う

お相撲さんは、自分の部屋の力士とばかり練習していてもトレーニングにならないので、他の部屋の力士のところに出かけていくことがあります。「出稽古」ですね。

元横綱の千代の富士が、出稽古で強くなったという話は有名です。あちこちに出稽古に出かけるので「さすらいのウルフ」とも呼ばれました。

千代の富士は力士としては小柄だったので、巨漢の小錦のいる高砂部屋にはしょっちゅう出稽古に出かけていたそうです。

自分よりも弱い力士とばかり勝負していても、強くはなれません。実力が上の相手に胸を借りるからこそ、強くなれるのです。

トルコにあるイスタンブール・シェヒル大学のサミ・アブハムダーは、オンラインチェスに参加している、平均28年のチェス経験のある87名の男性(平均42.1歳)に、2週間分の記録をとってもらいました。2週間で、1人平均16.4回の勝負をしたのですが、勝負をするたびに、面白かったかどうかを聞いたのです。

チェスをする人
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです

各参加者の腕前は、国際チェス連盟でも採用されているシステムで測定され、毎回の対戦で相対的な得点も出しました。たとえば自分の腕前のレーティングが1500で、対戦相手が1750だと、「-250」のような得点になります。

その結果、対戦相手が自分と同じか、あるいは上のときに、勝負の後で「面白かった」という答えが多く見られました。自分より弱い人とやっても面白くなかったのです。